自己破産
自己破産のポイント
自己破産の手続きには管財事件(少額管財)と同時廃止の2つがあります。
原則は管財事件(少額管財)です。
同時廃止になるかどうかは裁判所の判断によります。
同時廃止の方が負担は軽いのですが、確実に同時廃止で進められるとは限りません。
裁判所、破産管財人や申立代理人(当事務所)に対する虚偽申告は厳禁です。
虚偽申告があると、借金が免責されない可能性があります。
自己破産のメリット
債務を返さなくてよくなる(免責)
自己破産をして免責が確定すると、原則として借金は全て返済しなくてよくなります。
養育費など、免責されない債務もあります。
破産手続開始決定以後に受け取る収入は、原則としてご本人が自由に使えますので、生活はかなり楽になります。
自由に使えるとはいっても、その使い方が不適切な場合には、破産手続き上問題になってしまう可能性があります。
一定程度の財産を残すことができる
破産というと全ての財産を取られてしまうイメージですが、生活に必要な一定の財産(99万円までの現金など)は残すことができます。
自己破産のデメリット
財産を手放す必要がある
裁判所の基準を超える財産は手放す必要があります。
東京地方裁判所の場合、99万円を超える現金や20万円を超える財産(預金など)
一部債権者の特別扱いができない
「消費者金融の借金は返済したくないが、勤務先からの借金は返したい」というようなことはできません。
「ブラックリスト」や官報に掲載される
信用情報には約10年程度掲載され、その間は基本的に新しく借入れをすることはできなくなります。
官報というのは国の発行する新聞のようなものですが、一般の方が内容をチェックしている可能性は、一般論としては低いものと思われます。
ただし勤務先によっては、官報の内容をこまめにチェックしていることもあるようです。
職種の制限がある
警備員や生命保険募集人など一定の職業の方は、破産手続き中はその仕事をすることができなくなります。
ただし勤務先によっては、破産手続き中は資格を必要としない別の職場で働けるように協力してくれる可能性もありえます。
居住制限
破産手続中は自由に住所を変更することはできませんし、旅行に行く場合も破産管財人の許可が必要です。
郵便物をチェックされる
郵便物は全て破産管財人に転送されて、内容をチェックされることになります。
自己破産の注意点
一言でいえば、「破産がどういう手続きかをきちんと理解する」「嘘をつかず正直に全て申告する。裁判所や管財人には最大限協力する。指示にはきちんと従う」ことが重要です。
知人の借金だけは返済する(=偏頗(へんぱ)弁済)というのは、「破産では債権者を平等に扱わなければならないことを分かっていない」ということです。
財産隠しや虚偽申告をしたというような場合、免責許可が得られない可能性があります。
前回の免責から7年以内に再度免責を受けることはできません(破産法252条)。
そのため、自己破産をする以上は、以後は新たな借入れをせずに生活できるようにしないといけません。