このコラムの監修者
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秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
借金の返済が苦しく、債務整理をしたいけれども、持ち家である自宅を手放さなければならないいのかと不安に感じておられる方も少なくないかと思います。
個人再生を利用すれば、借金を減らしつつ、自宅にも住み続けることができる場合があります。
この記事では、個人再生を利用して持ち家を残しつつ借金を減らせる方法について解説いたします。
個人再生をする場合に自宅を残す条件は、住宅ローンの残額が、現在の自宅の価値を上回るか、下回るかによって変わってきます。
まずは、住宅ローンの残額が自宅の現在の価値を超える場合についてみていきます。
住宅ローンの残額が自宅の現在の価値を超える場合、すなわちオーバーローンというのは、具体的にいうと、例えば現在の自宅の査定が1500万円である一方で、住宅ローンは1800万円残っているというような状態です。
住宅ローンを負っている方が自己破産する場合、破産者名義の自宅は、原則として競売に掛けられるか、任意売却により売却されることになります。
他方、個人再生においては、住宅資金特別条項(通称、「住宅ローン特則」といいます。)という制度を利用することによって、自宅を残すことができます。
住宅ローン特則とは、住宅ローンについては個人再生の申立ての先後を問わず、従前どおり(または返済計画を変更して)弁済を継続することによって、自宅を処分されないようにしながら、住宅ローン以外の借金だけを圧縮することができるという制度です。
住宅ローン特則を利用するためには、個人再生の利用条件を満たしているだけでは足りず、住宅ローン特則固有の要件も別途満たしている必要があります。
住宅ローン特則の基本的な要件は、次のとおりです。
住宅ローン特則の利用条件は、このように大まかにみても複雑であり、実際にはより詳細に条件が定められており、住宅ローン特則を利用できるのかどうかの判断は容易ではありません。
住宅ローン特則を利用した個人再生の申立てを希望されるかたは、弁護士に相談して、要件を充足するのかを確認する必要があります。
住宅ローン特則を利用するには、個人再生の手続の最中に裁判所に対して提出する再生計画案の中に住宅ローン特則を定め、その再生計画案が認可される必要があります。
住宅ローン特則で定める内容は、タイプによって異なります。もともとの支払い条件通りで行く場合や、リスケジュールして支払い期限を延長する場合などがあります。個人再生する方の状況や債権者側の対応によって使い分けます。
では、上記と反対に、自宅の価値が残ローンを上回るという場合についてはみていきます。
この場合、自宅は、プラスの価値がある財産ということになっています。個人再生においては、自己破産の場合と比べて、手元に財産をより多く残したまま利用できるという側面があります。
ただし、個人再生の場合に財産を手元に残すにあたっては、次のルールがあります。個人再生の結果債権者に対して弁済することになる金額は、破産した場合に債権者に対して配当される金額より大きくなければならない(清算価値保障原則といいます。)というルールです。
つまり、破産する場合は、破産者の方は原則として価値あるすべての財産を手放してお金に換え、債権者への弁済に充てることになります。個人再生には、それをする必要がないものの、価値あるすべての財産を手放してお金に換えたのと同じ額は債権者に弁済しなければならないということです。
具体例でみてみましょう。たとえば、個人再生にしようとする方が、消費者金融に対する400万円の借金を抱えるとともに、残ローンが1000万円ある600万円の価値の自宅を持っていたとします。ここで、自宅と住宅ローンのことを抜きにして考えると、400万円の負債の場合の最低弁済額は100万円ですので、400万円の借金を100万円まで圧縮することができます。しかし、自宅の価値(残ローンとの差額)が400万円ありますので、住宅ローン以外の借金についても最低400万円以上弁済しなければならないことになり、借金が減らせなくなってしまいます。
このように、自宅の価値が高くなるにつれて、個人再生を利用して自宅を残すことは難しくなります。
このコラムの監修者
秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
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