このコラムの監修者
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秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
債務整理に応じない債権者もあるのでしょうか?
そのことは、特に任意整理で問題になってきます。自己破産ではさほど問題にはならず、個人再生では影響が出ることもあります(後述)。
任意整理は、弁護士が貸金業者などの債権者と交渉して、借金を減らしたり、返済計画を変更したりする手続きです。任意整理はあくまで交渉ですので、むりやり応じさせる強制力はありません。場合によっては任意整理に応じてもらえないこともあります。
この記事では、債権者が債務整理・特に任意整理に応じない理由と、応じない場合の対応策について解説いたします。
債権者が任意整理に応じない理由は、大きく次の2つに分かれます。
任意整理には応じないというのが、債権者の(会社の)方針になっている場合があります。和解案の内容がどうかとは無関係です(支払回数が長い短いとか)
たとえば国民生活金融公庫、保証協会、互助会、共済組合などは、弁護士が介入して支払い条件を良くすることができません。
任意整理を拒否しない債権者であっても、個別の事情によっては、和解案に応じないことがあります。
一言でいうと、債務者(=あなた側)の提示する和解案が、債権者の社内基準を満たさない場合です。たとえば次のようなケースがあります。
①借入れをしてから間もない
借入れをした後ほとんど返済していない状況で、任意整理をする場合です。
債権者からみると、債務者の支払能力に疑念がある、不誠実ではないかといった理由で、任意整理に応じてもらえないことがあります。応じてもらえる場合でも、支払実績がないことから、短い分割回数にしか応じてもらえない可能性もあります。
②債務名義がある場合
判決や支払督促を取られている場合です(=債務名義といいます)
借金を長期間滞納していると、債権者から、借金返済を求める訴訟を提起されることがあります。この訴訟がすでに終わって、債権者側の勝訴判決が出ている場合には、任意整理に応じる可能性が低くなります。支払督促に異議を申立てずに仮執行宣言がついた場合も同様です。
債務名義があると、債権者は強制執行(ex.給与差押え)をすることができます。そのため、任意整理に応じるメリットが少なくなるからです。
債務名義があるからといって全く応じてこないわけでもありません。そのため、任意整理の交渉を試みる価値はあります。
③和解案が少額すぎる・期間が長すぎる
任意整理では、基本的に借金の総額を減らすことは難しいです。たとえば、借金元本を減額して分割で支払うという和解案では、応じてもらえないことがあります。
任意整理での返済期間は3年まで、長く認めているところでも5年まで、という債権者がほとんどです。その期間を超える和解案には、応じてもらえない可能性が高いです。
④債務者が高齢
債務者が高齢の場合、収入状況に不信を持たれ、任意整理がまとまらないことがあります。
勤労状況や家族の援助が見込めることを説明するなどして、支払能力・意思に問題がないことを、示していく必要が出てくると思われます。
⑤2回目の任意整理
任意整理で分割払いの和解をしたとします。そのときの和解内容に従って返済をすることが難しくなり、再度の任意整理をする場合のことです。
任意整理には、回数制限、期間制限はありません。いつでも、何度でも行うことは可能です。とはいえ完済しないうちに2回目となると、債権者の説得は難しくなります。債権者に「また反故にされるのではないか」と疑念を持たれてしまうからです。
3 債権者を任意整理に応じさせるには?
債権者が任意整理に応じない方針(会社)の場合、応じさせるのは極めて困難です。
任意整理を拒否しない債権者の場合には、債権者とよく話し合うことで、任意整理がまとまることもあります。特殊な事情があるのであれば、月の返済額を上げる(=短めの分割回数にする)とか頭金を入れるとか、債権者の懸念を払拭できるよう努めることも一つの方法でしょう。
債権者との交渉の結果、債権者が任意整理に応じない場合はどうしたらいいでしょうか?
任意整理の対象からその債権者だけを外す、という方法が考えられます。
別の債権者を任意整理して、家計全体の支払負担を下げるという形で、債務を整理できるかもしれません。
自己破産は、借金を払いきれなくなった場合に、裁判所に申立てをして、借金の支払いを免除してもらう制度です。
自己破産をすると、税金など一部の債務を除き、基本的にすべての借金がなくなります。その代わりに、借金の返済に充てられる財産がある場合には、そのすべての財産を手放して債権者への弁済に充てることになります。
個人再生は、当初の返済計画通りに借金を返済することが難しくなった場合に、借金を減額したうえで、新たな返済計画に従って弁済する手続です。こちらも、裁判所に申立てをして行います。
個人再生は、制限職種(警備員など)のため自己破産できない場合に検討価値があります。自己破産と異なり、財産を手放す必要がないため、持ち家のように手放したくない財産がある方も同様です。
個人再生では、状況によっては、債権者が反対することによって手続きが失敗する可能性があります。その点も踏まえて、具体的にどのような手続きを取るべきかを決めていくことになります。
債務整理に応じない債権者は、特に任意整理で問題になります。
任意整理を会社の方針として拒否している場合は、それ以外の債権者を任意整理して全体の支払負担を下げるか、自己破産や個人再生を検討していくことが考えられます。
任意整理を拒否してはいないが和解がまとまらないという場合は、債権者の懸念を払拭できるようによく話し合いを進めれば、話がまとまることもあります。
なお個人再生の場合、状況によっては債権者の反対で手続きが失敗に終わることがありますので、注意が必要です。反対しそうな債権者が大きな債権額を持っている場合には、自己破産で進めるほうが良いこともあります。
このコラムの監修者
秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
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