このコラムの監修者

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秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
ある日突然、アイ・アール債権回収から圧着ハガキや封書が届いて、そういえば借金が残っていた、返済していなかったことを思い出した…。
「特別和解のご提案」「訴訟等申立予告通知」「特別和解および法的手続予告通知」といったタイトルの書類が届いて、どう対応すればよいか分からない…。
「もうかなり昔の借金だし、返す義務はあるの?時効では?」「一括で返済なんて無理…」
など、疑念と不安が入り混じっていることでしょう。
この記事は、アイ・アール債権回収から請求を受けており、長年返済していない方に向けたものです。
消滅時効という制度があり、条件を満たせば、借金の返済義務がなくなる可能性があります。
しかし、消滅時効の成立には、正確な知識と適切な手続きが不可欠です。
以下では、アイ・アール債権回収からの請求が時効になるための条件、具体的な手続き方法、必要な費用、そして信用情報への影響について解説します。
万が一、時効援用に失敗した場合のリスクや、アイ・アール債権回収側の動きへの対処法もご紹介します。
「アイ・アール債権回収から急に連絡が来たが、時効になるって本当?」
まずは、アイ・アール債権回収という会社の概要と、借金の消滅時効という制度の基本的な仕組みを確認していきましょう。法律に詳しくない方でも分かりやすいように、ポイントを絞ってご説明します。
アイ・アール債権回収株式会社は、貸金業者等から債権を買い取り、その回収を行うことを業務とする、いわゆる「サービサー(債権回収会社)」です。
法務大臣から許可を受けた、正規の債権回収会社です(法務大臣許可番号 第51号)。
もともとアコムに借金があったが、アイ・アール債権回収から請求が来た、というケースが当事務所では大半を占めています。
アコムは消費者金融として貸付けを行っていますが、返済が長期間滞ったものについては、アイ・アール債権回収に債権を譲渡することがあります。
その場合、もともとの債権者はアコムですが、請求をしてくるのは今の債権者であるアイ・アール債権回収、という構図になります。
消滅時効とは、一定期間権利が行使されない場合に、その権利が消滅するという法律上の制度です。
アイ・アール債権回収からの請求で言えば、債権者(アコムやアイ・アール債権回収)が一定期間、返済を求めるなどの権利行使をしていない場合、債務者(お金を借りた側、あなた)が時効を主張することで返済義務がなくなる、というものです。
| 用語 | 読み | 意味 |
|---|---|---|
| 消滅時効 | しょうめつじこう | 権利者が権利を行使しない状態が一定期間続いた場合に、その権利が消滅すること。 |
| 債権者 | さいけんしゃ | 金銭の支払を請求する権利を持つ人(アイ・アール債権回収) |
| 債務者 | さいむしゃ | 金銭を借り入れた人(あなた) |
消滅時効の制度は、債権者が権利を行使しない状態が一定期間続いた場合に権利消滅を認めることで、生活関係の安定を図ることが主な目的です。
債務者の立場からいえば、「永遠に借金のプレッシャーにさらされる事態を防いでくれる制度」ということになります。
アイ・アール債権回収からの請求は、いつの時点から何年で時効になるのでしょうか。
原則として、元の債権(アコムに対する借金)の期限の利益を喪失した日から5年、ということになります。
ここで重要なのは、「アイ・アール債権回収への債権譲渡の日」から時効期間がスタートするのではない、という点です。
債権が譲渡されたからといって、それだけで時効期間を一から数え直すことにはなりません。アコムとの契約について、期限の利益を喪失した日を起点に考えることになります。
期限の利益喪失というのは、分割払いで良いという利益を失って、残額を一括請求される状況になることです。
基本的には、借金を返済すべきだった日の翌日に期限の利益を失う(残債務全額を直ちに支払うべき状態になる)こととなります。
アコムのウェブサイトにある「AC会員規約」によれば、ショッピング等の利用代金を除いて、アコムに対する支払いが遅れたら、アコムからの通知等がなくても期限の利益を失う(残債務全額をただちに支払う)とされています(本稿執筆時点のもの)。
**引用ここから**
第12条(期限の利益の喪失)
1.会員が次のいずれかに該当する場合には、当社からの通知、催告がなくても当然に当社に対する債務について期限の利益を失い、残債務全額をただちに支払うものとします。
(1)住所、勤務先変更の届出を怠るなど、会員の責めに帰すべき事由によって当社に会員の所在が不明となったとき。
(2)ショッピング等の利用代金について支払期日に弁済金の支払を遅滞し、当社から20日以上の相当な期間を定めてその支払を書面で催告されたにもかかわらず、その期間内に支払わなかったとき。
(略)
3.前二項に定めるほか、次に定める会員が、本規約に基づく債務であるかを問わず当社に対する債務(ショッピング等の利用代金を除く。)の支払を遅滞したときは、当該会員は、当社からの通知、催告がなくても当然に当社に対する債務について期限の利益を失い、残債務全額をただちに支払うものとします。
(1)平成19年6月18日以降に新たに入会した会員
(略)
**ここまで**
時効期間は5年となります。
2020年4月の民法改正で5年の時効期間が導入されましたが、改正前もアコムからの借金(会社からの借金)については別の法律で5年とされていましたので、実質的には変わりはありません(商事時効5年が適用されていました)。
先に述べたように、実質的な影響はありません。
2020年4月1日に民法が改正され、時効に関するルールも一部変更されましたが、主な変更点は以下の通りです。
| 改正前の時効期間の原則 | 改正後の時効期間の原則 |
|---|---|
| 権利を行使することができる時から10年間 | 1. 債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間 2. 権利を行使することができる時から10年間 (上記1、2のいずれか短い方) |
元の債権者であるアコムは、所定の期限内に支払いがないと分かったら、規約に基づいて残債務全額をただちに請求できる、ということを知りますので、そこから5年で時効となります(前述のとおり、その前後にアイ・アール債権回収に譲渡されたとしても、それだけで時効期間を数え直すわけではありません)。
民法改正前からのアコムからの借金も、別の法律で時効期間が5年とされていたため、民法改正の影響は事実上ありません。
アイ・アール債権回収からの請求が時効で消滅するためには、単に5年の期間が経過するだけでは不十分です。
以下の4つの重要な条件をすべて満たす必要があります。
ご自身の状況と照らし合わせながら確認してみましょう。
| No. | 条件 | チェック |
|---|---|---|
| 1 | (アコムなどの)元の債権者に返済すべきだった日または債務承認から5年以上が経過している | □ |
| 2 | 過去10年以内に元の債権者やアイ・アール債権回収から裁判や支払督促をされていない | □ |
| 3 | 時効期間の進行中および完成後に「債務の承認」をしていない | □ |
| 4 | アイ・アール債権回収に対して「時効の援用」をする | □(これから行う予定) |
民法166条によると、債権者が権利を行使することができることを知った時から、5年の時効が進行します。
つまり、元の債権者(主にアコム)に対して所定の返済期限(返済すべきだった日)を過ぎた時から5年ということになります。
(アコムとしては、分割払いの返済期限を過ぎれば、残額も含めて一括請求できる)
所定の返済期限がいつなのかは、資料から判明したり、推測できたりすることもあります。
しかし場合によっては、全くわからないこともあるでしょう。
(例)アコムの借金の返済を何年か前に止めた。その後アイ・アール債権回収から請求が届いていたが、書類を捨ててしまったので、元の契約内容や金額などは一切不明である。
こういう場合は、便宜上の措置として、「アコムに5年以上支払っていないかどうか」という記憶をもとに、一応の推測をするしかありません。
もちろん、その記憶に基づいて時効援用をしたとしても、実際には5年経っていなかった場合には、アイ・アール債権回収からその旨反論されますし、支払義務が残っていることになります。
なお、もし途中で支払いの約束をするなど「債務の承認」にあたる行為(後述します)をしていれば、その承認があった時から新たに5年間のカウントが始まります。
時効期間が進行している途中で、(アコムなどの)元の債権者やアイ・アール債権回収が裁判所に訴訟を起こしたり、支払督促の申し立てをしたりすることがあります。
これは、借金が時効で消滅しないようにするためのものです。
裁判で判決が確定した場合などは、その確定日から新たに10年間、時効が成立しなくなります(訴訟上和解が成立した場合なども同様です)。
「裁判なんて起こされていないはず」と思っていても、実は裁判所からの郵便物が届いていた、という場合もあります。
もし可能であれば、過去の郵便物を調べてみるなどしてみましょう。
時効期間進行中に、借金の存在を認めるような行為(債務の承認)をしてしまうと、「時効の更新」が生じます。
それまでの時効期間はリセットされ、新たに時効期間がスタートしますので、そこから改めて5年(判決等がある場合は10年)が経たないと、時効になりません。
なお5年の期間が経過した後に、「債務の承認」(債務自認行為)をしてしまうと、その後に消滅時効の援用をしても、信義則上認められない可能性が出てきます。
【要注意!これらは「債務の承認」にあたる危険性が高い行為リスト】
具体的にどのような行為が「債務の承認」と評価される可能性があるのでしょうか。
例えば、以下のようなものです。
こうした行為があると、借金の存在を認めたと判断される可能性があり、相対的に時効の援用が失敗する可能性が高くなってきます。
「アイ・アール債権回収から請求が来た」という場合に、あわてて担当者と話をしてしまうと、「債務の承認」をしてしまう可能性が高くなります。
後述しますが、「特別和解のご提案」のような書面に安易に応答してしまうことも同様のリスクがあります。
したがって、そのような場合には、すぐに弁護士に依頼するほうが適切です。
上記の条件1から3までを満たしていても、自動的に借金がなくなるわけではありません。
「時効なので借金の支払義務はありません」という通知(=消滅時効による利益を受けるという意思表示)を、アイ・アール債権回収に対して行う必要があります。
これを「時効の援用」といいます。
この通知をしない限り、法的にはまだ返済義務が残っている状態となります。
消滅時効の条件を満たしている可能性が出てきたら、次はいよいよ「時効の援用」の手続きです。
この手続きは、ご自身で行うことも一応可能です。
しかし、内容を間違える可能性があったり、もし時効にならなかった場合の債務整理を検討する必要があったりしますので、弁護士に依頼して行うことをおすすめします。
①ステップ1:残高や契約内容の確認(省略可能なこともある)
アイ・アール債権回収から届いた書面には、請求額や元の債権に関する情報が記載されていることがあります。
ただし、元のアコムとの契約詳細(最終返済日など)まで記載されているとは限りません。
元の取引履歴を確認したい場合は、アイ・アール債権回収に問い合わせて取引履歴の開示を求める方法もありますが、直接連絡することで「債務の承認」と見なされるリスクがないかには注意が必要です。
弁護士に依頼した場合は、受任通知でアイ・アール債権回収に対して残高等の開示を求めると、残高証明書等が送られてくることになります。
②ステップ2:時効成立の条件を満たしているか再確認
取引履歴やご自身の記憶、過去の書類などを基に、時効が成立する条件を満たしているか、再度確認します。
所定の返済期限から5年以上経過しているか、途中で裁判や支払督促がなかったか、債務の承認にあたる行為がなかったか、が重要です。
返済期限の分かる書類などが無い場合、便宜上の措置として「5年以上支払っていないという記憶かどうか」で、推測するしかありません。
③ステップ3:時効援用通知書の作成と内容証明郵便発送
アイ・アール債権回収に送付する「時効援用通知書」を作成します。
この通知書には、おおむね以下のような情報を記載します。
④ステップ4:アイ・アール債権回収への送付と控えの保管
作成した通知書は、郵便局で「内容証明郵便」という特殊な方法で送付します。
内容証明郵便は、「いつ、どのような内容の文書を、誰が誰あてに差し出したか」を郵便局が証明してくれる制度です。
「e内容証明」ならインターネットで差し出し可能ですし、「配達証明」を付けておけば、配達日が記載されたハガキが後で届きます(※こうした詳細については、郵便局にご確認下さい)。
送付後、以下の書類を保管しておきます。
これらの書類が、「時効援用の意思表示を通知した」という証明になります。
念のためですが、これは「時効援用をした証拠」であって、「アイ・アール債権回収が時効を認めた直接的な証拠」ではありません。
時効援用手続きは自分でも行えますが、文書作成や内容証明差し出しなどは慣れていないと難しいですし、「やり方を調べているうちに、手つかずのまま放置してしまった」ということにもなりかねません。
そのため、弁護士に依頼する方が確実で安心です。
①メリット
②デメリット
| 手続き方法 | 費用の内訳例 | 費用相場 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 自分で実施 | 内容証明郵便の費用 | 約2,000円程度 | |
| 弁護士に依頼 | 時効援用代理費用、任意整理費用(着手金、報酬金など) | (数万円+報酬金)程度 ※任意整理の場合 |
・依頼内容によります。(文書作成限定/時効失敗時には分割交渉を含む(任意整理)/裁判対応など) ・日弁連規程で、債務整理の報酬金の上限が定められています。 |
時効援用通知書をアイ・アール債権回収に送付した後、その結果がどうなるのかは非常に気になるところです。
大きく分けて、時効援用が成功した場合と、残念ながら失敗してしまった場合に分かれます。
アイ・アール債権回収が時効を認める場合、自主的に「この債権は時効だ」という処理を行います。
その結果、以後、請求も来なくなります。
一方で、時効の条件を満たしていなかったなどの理由で、時効援用に失敗してしまうケースもあります。
その場合に考えられるリスクは以下の通りです。
時効援用が失敗してしまった場合は、放置せずに弁護士に相談し、債務整理(任意整理、自己破産、個人再生など)を検討することが重要です。
時効の進行中に特定の事柄が発生すると、それまでに経過した時効期間が無かったことになり、新たにゼロから時効期間がスタートします。
これを「時効の更新」といいます(2020年の民法改正前は「時効の中断」と呼ばれていました)。
主な時効の更新事由は以下の通りです。
| 時効の更新事由 | 具体例 |
|---|---|
| 確定判決等による権利確定 | アイ・アール債権回収(または元の債権者)が訴訟や支払督促を申立て、判決や支払督促が確定した。 |
| 強制執行等 | アイ・アール債権回収(または元の債権者)が判決などに基づき、給与や預金などの差し押さえを行った。 |
| 債務の承認 | 借金の一部返済、支払いの意思表示、和解契約の締結など。 |
これらの事由が発生すると、せっかく進行していた時効期間がリセットされてしまうため、時効援用を目指す上では細心の注意が必要です。
アイ・アール債権回収から請求が来ているということは、元の債権者(主にアコム)への返済を長期間滞納してきた結果です。
その間に、いわゆる「ブラックリスト」に登録されているはずです(信用情報機関で事故情報が登録されている)。
時効援用が成功した場合、この信用情報はどうなるのでしょうか。
貸金業者は、信用情報機関に加盟しています。
主な信用情報機関には、CIC、JICC、全国銀行個人信用情報センターがあります。
元の債権者であるアコムが加盟しているのは、CIC、JICCの2つです。
借金の返済を2~3ヶ月以上延滞すると、これらの信用情報機関に「延滞」や「異動」といった事故情報が登録されます。
事故情報は、他の金融機関も照会できるため、新たな借入れやクレジットカードの作成、ローンの審査などに大きな影響を与えます。
①JICCのサイトによれば、債権譲渡があった場合について、以下の記載があります(本稿投稿日時点)。
アコムからアイアールへの譲渡から1年が経過していれば、既にJICCの情報が削除されている可能性があります(その詳細はJICCにお問い合わせください)。
**引用ここから**
譲渡先がJICCの加盟会員でない場合は、譲渡日から1年間その旨が登録され、譲渡時点の内容のまま情報は更新されません。譲渡先が加盟会員の場合は、譲渡元会員の情報は削除され、譲渡先会員の情報として新たに登録されます。
**ここまで**
また、JICCでは、時効援用が成功すると、その借金に関する情報が削除されることになっています。
情報削除の手続きのために、時効が認められてから1か月程度の時間はかかります。
(JICCのサイト上の「よくある質問」に説明がありますので、詳しくはそちらをご参照下さい)
**引用ここから**
「時効の援用」については、お客さまが債権者である登録会社に対し「時効の援用」をし、登録会社と認識に相違がない場合に、時効の起算日に遡って完済として登録されます(その時点で登録期間経過により登録情報は抹消されます)。
**ここまで**
②一方、CICのサイト上では、JICCのような説明書きはないようですが、「『信用情報開示報告書』表示項目の説明」(同社サイトから確認できます)によれば、アコムがアイ・アール債権回収に債権を譲渡すると「移管終了」として登録され、そこから5年間は情報が保有される、ということになるようです。
ご自身の現在の信用情報がどうなっているか気になる場合は、各信用情報機関に情報開示を請求することで確認できます。
①CIC(株式会社シー・アイ・シー):インターネット開示、郵送開示
②JICC(株式会社日本信用情報機構):スマートフォンアプリによる開示、郵送開示
各機関のウェブサイトで詳細な手続き方法を確認できます。開示手数料がかかりますが、ご自身に関する情報を正確に把握するために有効な手段です。
返済をしないままでいると、アイ・アール債権回収から何らかのアクションがなされることが多いです。
アイ・アール債権回収も債権回収のために様々な手段を講じてきますので、不用意な対応で時効成立のチャンスを逃さないよう注意が必要です。
アイ・アール債権回収から届く通知の中で、特に注意が必要なものとして「特別和解のご提案」や「特別和解および法的手続予告通知」があります。
これらは、請求額の一部を支払えば残額を免除する、といった内容の提案が含まれていることがあります。
一見すると有利な提案のように見えますが、これに応じて支払いをしたり、「払えます」と返答したりすると、「債務の承認」となり、時効期間がリセットされるリスクがあります。
当事務所の事例でも、「請求額の80%を一括で支払えば残額を免除する」という特別和解の提案に対して、安易に応答せず弁護士に依頼した結果、時効援用に成功し債務がゼロになったケースがあります。
また「特別和解および法的手続予告通知」のように、法的手続きを予告する文言が記載されていることがあります。
これを見て慌てて連絡してしまうと、債務承認のリスクが生じます。
こうした書面が届いた場合は、安易に連絡を返さず、まず弁護士に相談することを強くおすすめします。
アイ・アール債権回収から「訴訟等申立予告通知」が届いた場合、訴訟や支払督促の申立てを予告するものです。
これも慌てて連絡してしまうと、債務承認のリスクが生じます。
一方で、全く放置しておくと本当に訴訟等が申し立てられる可能性もあります。
当事務所の事例でも、「訴訟等申立予告通知」を受け取った後に依頼を受け、時効援用に成功したケースがあります。
こうした書面についても同様に、安易に連絡を返さず、まず弁護士に相談することを強くおすすめします。
もしアイ・アール債権回収からではなく、裁判所から「訴状」や「支払督促」といった書類が届いた場合は、絶対に無視してはいけません。
これは法的手続きが開始されたことを表しており、時効の成立・不成立にも影響してきます。
・訴状が届いた場合:指定された期日までに「答弁書」を裁判所に提出し、裁判期日に出頭する必要があります。
・支払督促が届いた場合:受け取ってから2週間以内に裁判所に「異議申立書」を提出しないと、強制執行(給与差し押さえなど)をされる可能性が出てきます。異議申立書を提出すると通常の裁判に移行し、裁判期日が指定・通知されます(以後、訴状が届いた場合と同様)。
これらの書類が届いたら、速やかに適切な対応をとる必要がありますので、直ぐに弁護士に相談すべきです。
特に訴状を放置して判決確定してしまうと、訴状が届いた時点なら時効を援用できたはずの借金であっても支払わなければならなくなりますので、注意が必要です。
(さらに、判決確定から10年経たないと時効にはなりません)
アイ・アール債権回収の時効援用に成功した解決事例をご紹介します。
※以下の事例は当事務所の実際の解決事例ですが、個別の事情により結果は異なります。同様の結果を保証するものではありません。
【解決事例①】ハガキの請求書が届いたが、時効援用に成功したSさんのケース(41万円→ゼロ)
Sさん(30代)のもとに、アイ・アール債権回収からハガキの請求書が届きました。元金は10万円でしたが、長期間の遅延損害金が積み重なり、請求額は41万円に上っていました。
当事務所が時効援用の手続きを進めたところ、アイ・アール債権回収から消滅時効を認めるという回答があり、債務はゼロになりました。
【解決事例②】債権譲受通知書が届き、時効援用に成功したUさんのケース(403万円→ゼロ)
Uさん(50代)のもとに、アイ・アール債権回収から債権譲受通知書が届きました。元金は109万円でしたが、遅延損害金が加算されて請求額は403万円になっていました。
当事務所が時効援用の手続きを進めたところ、アイ・アール債権回収から消滅時効を認めるという回答があり、債務はゼロになりました。
【解決事例③】債権譲受通知書が届き、時効援用に成功したSさんのケース(14万円→ゼロ)
Sさん(40代)のもとに、アイ・アール債権回収から債権譲受通知書が届きました。当事務所が受任後にアイ・アール債権回収へ開示を求めたところ、元金3万円・請求額14万円であることが判明しました。
時効援用の手続きを進めたところ、アイ・アール債権回収から消滅時効を認めるという回答があり、債務はゼロになりました。
【解決事例④】「特別和解のご提案」が届いたが、時効援用に成功したNさんのケース(216万円→ゼロ)
Nさん(40代)のもとに、アイ・アール債権回収から「特別和解のご提案」が届きました。請求額の80%を一括で支払えば残額を免除するという内容でしたが、元金は49万円であるにもかかわらず、請求額は216万円にまで膨らんでいました。
当事務所が時効援用の手続きを進めたところ、アイ・アール債権回収から消滅時効を認めるという回答があり、債務はゼロになりました。もし特別和解の提案に応じていた場合、170万円以上を支払う必要がありました。
【解決事例⑤】「特別和解および法的手続予告通知」が届いたが、時効援用に成功したDさんのケース(6,974万円→ゼロ)
Dさん(50代)のもとに、アイ・アール債権回収から「特別和解および法的手続予告通知」が届きました。通知書には残高合計金額6,974万円(元金残高2,106万円・遅延損害金4,868万円)と記載されており、70万円の一括支払いで残金を免除するという特別和解の提案も含まれていました。
当事務所が時効援用の手続きを進めたところ、アイ・アール債権回収から消滅時効を認めるという回答があり、債務はゼロになりました。
【解決事例⑥】「訴訟等申立予告通知」が届いたが、時効援用に成功したHさんのケース(132万円→ゼロ)
Hさん(60代)のもとに、アイ・アール債権回収から「訴訟等申立予告通知」が届きました。元金は24万円でしたが、遅延損害金が加算されて請求額は132万円になっていました。
当事務所が時効援用の手続きを進めたところ、アイ・アール債権回収から消滅時効を認めるという回答があり、債務はゼロになりました。
【解決事例⑦】裁判所から訴状が届いたが、時効援用に成功したSさんのケース(約120万円→ゼロ)
Sさん(50代・男性)のもとに、裁判所から訴状が届きました。訴状の内容を見ると、元金と遅延損害金とをあわせて約120万円を払えと記載されていました。もともとアコムから借入れをしていましたが、支払いが滞ったまま20年以上が経ち、アイ・アール債権回収に債権が移ってしまっていたのでした。裁判にどう対応していけばよいかと思い、ご相談にお越しいただきました。
当事務所が裁判に対応し、時効援用の手続きを進めたところ、アイ・アール債権回収が消滅時効を認めて訴訟終了となり、債務はゼロになりました。
関連記事 【アイ・アール債権回収】裁判所から訴状が届いたが、時効でゼロになった事例アイ・アール債権回収への時効援用に関して、多くの方が抱く疑問についてお答えします。
Q. アコムへの借金だったのに、なぜアイ・アール債権回収から請求が来るの?
A. アコムが、回収が難しいと判断した債権をアイ・アール債権回収に譲渡したためです。このように債権が譲渡されることを「債権譲渡」といい、譲渡後は新たな債権者であるアイ・アール債権回収が請求を行います。債権譲渡があったからといって、それだけで時効の起算点や時効期間が変わるわけではありません。
Q. 長年請求がなかった借金だけど、時効は自動で成立するの?
A. いいえ、時効は自動的には成立しません。たとえ時効期間(原則5年)が経過していても、あなたからアイ・アール債権回収に対して「時効なので支払いません(時効を援用します)」という意思表示をしなければ、法的には返済義務が残ったままです。
Q. どうして今頃請求してきたの?
A. 例えば、住民票を変えたのがきっかけで請求が来るようになったというケースは、しばしば目にするところです。時効援用をしないかぎり債権は消滅していませんので、請求してきたこと自体は、何ら不思議なことではありません。アコムから債権を譲り受けたアイアールは、その旨の通知とともに改めて請求してくる形になります。きちんと時効援用の手続きを進めるべきでしょう。
Q. アイ・アール債権回収に少しでも支払ったら、時効期間はリセットされる?
A. 争う余地がないわけではありませんが、払っていない場合よりは不利に働く可能性があります。「債務の承認にあたる」と評価されるリスクを減らすためには、支払わないことが重要です。時効が疑われるほどの昔の借金については、たとえ少額であっても、安易に応じないよう注意が必要です。
アイ・アール債権回収からの請求に対する時効援用は、ご自身で行うことも不可能ではありません。しかし、時効援用通知書の作成・送付やアイ・アール債権回収とのやり取りなど、専門的な知識と慎重な対応が求められます。手続きを誤ると、時効の利益を得られないばかりか、債務承認をしてしまうリスクもあります。
不安がある場合は、弁護士に依頼することを強くおすすめします。
なぜ弁護士への相談が推奨されるのか?3つの理由
弁護士に相談・依頼すると、以下のような大きなメリットがあります。
➀法的に正確な判断と手続き:法的に不備のない時効援用通知書の作成や送付手続きを代行してくれるため、失敗のリスクを大幅に減らすことができます。また、アイ・アール債権回収から時効更新(中断)事由があると反論されたとしても、その妥当性の検討や反論も可能になってきます。
➁アイ・アール債権回収との交渉代行による精神的負担の軽減:専門家に依頼すれば、アイ・アール債権回収との連絡や交渉をすべて任せることができます。これにより、債務者ご自身が直接やり取りする精神的なストレスから解放されますし、不用意な発言で債務を承認してしまうリスクも避けられます。
➂時効以外の解決策も提案可能:もし時効成立が難しい場合でも、任意整理、自己破産、個人再生といった他の債務整理の方法について、あなたの状況に合わせた最適な解決策を提案してくれます。
アイ・アール債権回収の時効問題に強い弁護士の選び方のポイント
・債務整理・時効援用の実績が豊富か:事務所のウェブサイトなどで、アイ・アール債権回収を含む債権回収会社への時効援用や債務整理の解決事例がどれくらいあるか確認しましょう。実績が多いほど、ノウハウが蓄積されている可能性が高いです。
・費用体系が明確か:どういう業務内容の依頼になるのか、それを依頼して、最終的にどういう結果の解決となったら、どのような費用がどれくらいかかるのか。弁護士との直接対面での法律相談を受けて、そのような見通しを、事前に明確に説明してくれる事務所を選びましょう。
この記事では、アイ・アール債権回収からの請求が時効で消滅するための条件や手続き、注意点について詳しく解説してきました。重要なポイントをまとめると以下の通りです。
時効援用の手続きを自分で行うことも可能ですが、「自分で手続きをしたら失敗したので、今度はきちんと弁護士に依頼したい」という方も実際に見受けられます。
もし時効援用が失敗した場合には、債務が残っていることになりますが、それまで全く返済していなかったのですから、遅延損害金が相当高額に上る可能性も高いです。
アイ・アール債権回収にその額を一括で返済できるならともかく、そうでなければ、何らかの債務整理も必要になってくる可能性も高いです。
そうした点を考えれば、時効を援用する段階から弁護士に依頼しておくことが望ましいです。
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橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
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