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自己破産と資格・職種制限

自己破産すると資格や職種に制限を受けるかも
資格制限とは

自己破産をすると、一定期間中は、一定の資格を取得できなかったり資格を活かした仕事に就けなくなったりします。これを資格制限(職種制限)と呼んでいます。これから資格を取ろうという段階ならまだしも、実際に資格を活かした仕事に就いている場合には注意が必要です。

どのような資格に制限があるの?
他人の財産を扱う資格など

ごく一般論としては、他人の財産を扱う資格に資格制限が設けられていることが多いです(例えば、弁護士、司法書士など)。しばしば見かけるのは警備員、生命保険募集人や損害保険代理店ですが、さらには後見人、保佐人、遺言執行者などでも資格制限があります。

自己破産の手続きは破産法という法律で定められています。しかし、「この資格は制限がある」というように、破産法の中で定められているわけではありません。警備業法や保険業法といった個別の法律の中で、資格制限が定められています。

資格制限のある仕事をしている場合、自己破産により資格制限を受けたことがきっかけで失業してしまう可能性もありうるため、事前によく確認しておくことが必要です。勤務先によっては、資格制限とは関係ない業務に配置換えしてくれるかもしれません。

資格制限は一生続くの?
破産手続開始決定~免責許可決定が確定するまで

上記のとおり、資格制限は、破産法ではなく警備業法などの個別の法律の中で定められています。その多くの場合には、「破産者で復権を得ない者」は資格者として登録できない、というような形で定められています。
自己破産の申立てを裁判所に行って、破産手続開始決定を受けた時点で「破産者」となります。そして破産者は、免責許可決定が確定したときに「復権」します。したがって、「破産手続開始決定を受けたが免責許可決定が確定していない者」が資格制限を受ける、ということになります。言い換えれば、免責許可決定が確定すれば資格制限はなくなります。

資格制限の大まかなイメージとしては、申立てをしてから免責許可決定が確定するまでのおおむね6ヶ月程度はその資格を活かした仕事に就けない、というものです。一生続くわけではありませんし、自己破産をするとその資格を一生取れないというようなものでもありません。

資格制限を避けたい場合
個人再生、任意整理を検討

個人再生や任意整理には資格制限はありません。いくら資格制限を避けたいといっても、自己破産を考える状況で任意整理を組むのは支払いが難しい可能性が高いので、個人再生を検討することになろうかと思われます。

まとめ

資格制限は、主に他人の財産を扱う資格について、破産手続開始決定から免責許可決定確定まではその資格を用いた仕事ができない、というものです。資格とは関係なく仕事をされている一般の会社員の方(大部分の方はそうだと思いますが)にとっては、あまり影響はないものと思われます。

資格を活かして仕事をされている方の場合、勤務先によっては、資格制限が発生した時点で退職を余儀なくされる可能性もあります。資格制限で退職となってしまうと、せっかく免責が認められても収入の目途が立たず、自己破産の手続きを進める意味がなくなってしまうかもしれません。資格制限を受ける仕事に就いている場合には、事前に勤務先の取り扱いをよく確認しておくべきでしょう(配置換えなどで問題なく勤務継続できる可能性もあります)。

どうしても資格制限を避けたい(折り合いを付けられない)のであれば、個人再生や任意整理を検討することになるでしょう。どちらにしても債務を支払っていく手続きとなりますので、自己破産免責で返済を無くすよりは、経済的メリットは小さくなります。

このコラムの監修者

  • 橋本 俊之
  • 秋葉原よすが法律事務所

    橋本 俊之弁護士東京弁護士会

    法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。

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