このコラムの監修者
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秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
多額のショッピングやギャンブル、株の取引きなどで借金を作ってしまい、破産で免責を受けられるのか、という不安をお持ちの方がおられると思います。
たしかに、破産は、どんな事情があろうと借金をなくせる、というわけではありません、借金を作ってしまった理由などによっては、借金をなくすことができない場合があります。
もっとも、最初からあきらめてしまう必要はなく、場合によっては免責を受けられる可能性もあります。
今回は、どのような事情があると免責を受けられなくなってしまうのか、そして、免責をうけることが難しい場合はどうすればよいのかについて、具体的に解説します。
破産手続において、借金をなしにすることを「免責」といいます。しかし、「免責不許可事由」がある場合には、免責は認められず、借金を引き続き返していかなければならないことになります。
免責不許可事由とは、免責を受けることができない事情として法律に定められているものをいいます。
破産は、債権者にとっては貸したお金が返ってこなくなるということなので、一定の要件のもとでのみ、免責が認められます。また、どんな場合でも免責が認められるとなれば、安易に借金を重ねてしまい、債務者の生活がいつまでも借金に頼ってしまうことになりかねず、それを防ぐための要件でもあります。
免責不許可事由については、破産法に定められています。免責不許可事由は11の類型にわかれています。
破産手続においては、原則として、債務者の財産はすべてお金に換えて、債権者に平等に配当することになります。本来は借金の全額を返さなければならないところ、破産する場合持てる財産の範囲で返済するということになります。
破産手続きが始まってから、あるいは始まる直前に債務者が自身の財産を隠したり、誰かにあげたり、たくさん使ったりしてしまうと、本来債権者への返済に回せるはずのお金が減ってしまいます。
そのため、免責不許可事由として規定されています。
破産手続きの開始を遅らせる目的で、ヤミ金(法定の金利以上の高い金利でお金を貸す違法業者)からお金を借りたり、クレジットカードで購入した商品を現金化したりしてお金を得たりする行為をいいます。
不当な偏頗行為とは、債権者が複数いる場合に、一部の債権者だけを特別扱いすることをいいます。
たとえば、銀行からの借り入れについてはほとんど返さずに、家族からの借金に多くの財産をつぎ込むような場合をいいます。
浪費や、賭博などの射幸性の高い行為によって財産を減少させたり、過大な借金をしたりする行為のことです。
たとえば、収入に見合わず、ブランド品を買いあさる、ホストクラブやキャバクラなどにお金をつぎ込むなどの行為は浪費と認定されやすいでしょう。
射幸性の高い行為とは、パチンコ、スロット、競馬、株取引、FXなどが挙げられます。
破産手続開始の申立てがあった日の一年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に、自分が借金を返しきれない状態であることを知りながら、そうではないと信じさせるために相手を騙して借り入れをすることです。
たとえば、借り入れの審査の際に、実際の収入より高く申告することがこれにあたります。
業務及び財産の状況に関する帳簿、書類その他の物件を隠滅し、偽造し、又は変造する行為のことです。
たとえば、出納帳や決算書、確定申告書などを偽造することがこれにあたります。
破産の申立にあたって、すべての債権者を記載した名簿(債権者一覧表)を裁判所に提出する必要があります。この名簿に、わざと架空の債権者を載せたり、一部の債権者を載せなかったりする行為がこれにあたります。
破産手続において裁判所が行う調査において、説明を拒否し、または虚偽の説明をすることをいいます。
不正の手段によって、破産管財人・保全管理人・破産管財人代理または保全管理人代理の職務を妨害することをいいます。
具体的には、破産管財人による財産調査などを妨害することがこれにあたります。
一度破産申立てをして免責を認められたひとが、免責から7年以内に再度破産申立てをすると、免責不許可事由に該当します。
破産に関して事情等を説明する義務、重要な財産を明らかにする義務、免責不許可事由や裁量的免責の判断に必要な事情を説明する義務などに違反する行為をいいます。
破産にあたって、障害となってしまう「免責不許可事由」のことや、それがある場合の対処法について解説しました。免責不許可事由がある場合えあっても、あきらめずに申立てをすることで、免責を受けられる可能もあります。
破産をお考えの方で、免責を受けられるか不安な方は、お気軽にご相談ください。
このコラムの監修者
秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
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