このコラムの監修者
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秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
任意整理をして返済プランを見直した後、収入が減ってしまったり、出費がかさんで借金の返済に充てる分を確保するのが難しくなってしまったりする場合があります。
このような場合、いったん合意した返済計画を変更して、さらに細かい分割にすることや、返済時期を遅らせるということはできるのでしょうか。
この記事では、任意整理で合意した金額の分割や後払いが可能なのかどうか、支払が厳しくなった場合どうすればいいのかについて解説いたします。
任意整理とは、弁護士が、ご依頼者の方のお金の借入先(銀行や消費者金融など。債権者といいます。)と直接交渉を行って、利息のカットや返済計画の変更を行う手続です。
任意整理は、最終的には債権者と和解契約書を締結して、手続を終了します。
この和解契約書の中で、変更後の新たな返済計画に沿って返済をすることや、それを破った場合のペナルティなどを約束するわけです。
一度任意整理をした後で、勝手に返済金額を減らしたり遅らせたりすると、和解契約違反のペナルティを受けることになります。
具体的なペナルティは、たとえば「月の支払額を滞納したら、借金残額を一括で払う」というようなものです。
そのため、任意整理で合意した返済計画を見直したいという場合には、再び債権者と交渉する必要があります。
つまり、同じ債権者に対して2回目の任意整理を行う、ということになります。
任意整理は、もともと、利用にあたっての要件は厳しくありません。
自己破産や個人再生などの債務整理の方法と比較すると、裁判所を通す必要のない手続となるからです。
たとえば自己破産の場合、1回自己破産を行ったあと、2回目の自己破産を行うにあたっては、原則として7年以上の期間が経っていなければ手続を利用することはできません。
他方任意整理では、このような制限はありませんので、2回目の任意整理を行うことは可能です。
(法律上、任意整理について期間制限や回数制限はありません)
もっとも、任意整理は、債権者との交渉ごととなります。
つまり、債権者がNOといえば、2回目の任意整理は失敗に終わります。
「任意整理で返済中に、2回目の任意整理をする」というのは、一旦約束した内容を再度ひっくり返すということです。
ですので、1回目の任意整理よりもハードルは高くなると考えておいたほうがいいでしょう。
1回目の任意整理では交渉に応じた業者であっても、2回目の任意整理には応じないことがあります。
先に述べたように、1回目と2回目の任意整理では状況は異なるからです。
債権者としては、1回目の任意整理で、債務者(借りた人)と交渉の上、最後まで支払ってもらえるという前提で返済計画の変更に応じたのです。
その1回目の合意が覆されてしまうわけですから、債権者から「信用できない」と受け止められてしまうことがありうるのです。
任意整理では、月々の返済額の負担を小さくしつつ、長期間かけて借金を返済していくことになります。
そのため、収入がない、あるいは借金額に対して収入が少なすぎるという場合には、返済の目途が立てられず、任意整理を行うことができません。
また、任意整理に応じる業者であっても、返済期間としては3年、長くても5年程度までしか受け入れてくれません。
そのため、2回目の任意整理をしようにも、月々の返済に充てられる額が少なく、この期間内には返済しきれないという場合には難しくなります。
自分の収入で、2回目の任意整理を行うことができるのかが不安という方は、まずは弁護士と相談のうえ、返済計画が組めるかどうか検討しましょう。
借金を返す資力がなく、再度の任意整理はできないという場合には、自己破産によって借金問題を解決できることがあります。
任意整理で合意した金額を払うのが難しくなってきたけれども、2回目の任意整理をするのも面倒だ。
そう考えて、返済を勝手に止めてしまったり、今払える額だけ払っておいて足りない分は後払いの形にしたりできないか、と考えるかもしれません。
しかし、債権者との約束を破って、勝手なことをしてはいけません。
既に述べたように、1回目の任意整理において債権者との間で取り交わした和解契約書には、一定の金額の返済を怠ると、残りの分割金はすぐに一括で支払わなければならない、という条項が含まれています。
返済計画に基づく分割金を支払えないのですから、一括ではなおさら支払えないはずです。
そのうちに債権者から、遅延損害金を上乗せして一括で払え、と訴えられる(ひいては強制執行される)可能性が出てきてしまいます。
任意整理の結果(返済計画)を無視して無断で勝手なことをするのは、債権者からの信頼を損ねてしまい、問題の深刻化を招くだけです。
早めに弁護士に相談するなどの対応をとりましょう。
1回目の任意整理の弁護士は、ご依頼者の事情をよく把握しているはずです。
ですので、1回目の弁護士に信頼がおけるなら、再度依頼するのがいいでしょう。
任意整理をしたが支払が厳しくなってきたという場合があります。
その場合、自己判断で勝手に支払を止めたり、支払金額を減らしたりしてはいけません。
任意整理での約束に基づき、一括請求されたり訴えられたりする可能性が極めて高くなります。
そうなる前に2回目の任意整理を試みることも方法の一つです。
債権者が応じてくれないような場合には、自己破産などを検討することが考えられます。
このコラムの監修者
秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
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