このコラムの監修者
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秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
破産手続は、裁判所を通じて行う手続であるため、一定の手続費用を裁判所に支払わなくてはなりません。こうした手続費用の中には、申立手数料、予納郵券、予納金といったものがあります。
なお、破産申立ての手続きを弁護士に依頼する場合にはその依頼費用が別途掛かりますが、それとは別の話です。
※以下、東京地裁本庁(霞ヶ関)、令和3年2月現在のものです。なおコロナの関係で、通常とは異なる運用がなされている可能性があります。
※破産手続の運用は管轄裁判所によってそれぞれ異なりますので、ご自身の管轄裁判所や当該地域の弁護士にご相談ください。
東京地裁に個人の自己破産・免責を申立てる場合、申立手数料は1500円、予納郵券は4200円です(210円×8枚、84円×29枚、10円×6枚、2円×10枚、1円×4枚)。
破産する人に一定の基準以上の財産が何もなく、破産管財人による免責調査も必要なさそうな場合には、破産手続きの開始と同時に破産手続の廃止を決定します。一定の基準というのは、東京地裁の場合は20万円(現金は33万円)です。
この手続を、同時廃止事件といいます。破産手続は開始と同時にやめてしまいますので、財産処分や配当などには進みません。しかし免責手続(=借金をなくすための手続)のほうは続いていきます。
同時廃止事件においては、債務者に財産がないことがあきらかであり、かつ、次に述べる管財事件に比べて手続も簡便なため、予納金は安くなります。
管財事件というのは、破産管財人が裁判所から選ばれて、破産する人の財産をお金に換えて債権者に対する配分原資を確保していき、平等に配当を行う手続です(実際には配当ができない場合もあります)。
管財事件においては、破産管財人に対する報酬などが必要となるため、予納金は高くなります。
予納金基準額は、1万1859円です(官報広告費用)。
少額管財事件の予納金基準額は、最低20万円及び個人1件につき1万8543円です。このうち1万8543円は官報広告費用で、最低20万円というのが破産管財人への報酬等に充てられる部分です。多くの場合は20万円とされますが、「最低」とついていることで分かるとおり、事情によってはもっと高く設定されることもありえます。
昔は、東京地裁で個人が自己破産する場合であっても、管財事件となると最低50万円が必要とされていました。しかし平成11年以降、個人の自己破産事件を適正迅速に処理しようという趣旨で、従来よりも少額の予納金(最低20万円)で済むようにされたのです(=少額管財手続)。そして現在では、少額管財手続が標準的な手続になっています。
少額管財手続は、東京地裁破産再生部の「通常管財係」で事件を進めていきます。
ところで破産再生部には「特定管財係」というものがあり、債権者が破産を申立てた事件や、弁護士代理人申立てではない自己破産事件(=本人申立事件)などは、こちらで処理されています。
ちなみに本人申立事件の場合の予納金基準額は、負債総額が5000万円未満の場合50万円、5000万円以上1億未満の場合80万円といった形になっています(別途、個人1件につき1万8543円の官報広告費用が必要です)。
なぜ本人申立事件の場合の予納金が少額管財手続の場合よりも高額に設定されているかというと、法律の専門家である弁護士による申立て前の事前調査がなく、継続的な管財業務への協力が見込めないことから、破産管財人の負担が少額管財手続に比べて重くなるからです。
管財事件の場合には、高額な予納金が必要になる可能性があるため、どのように予納金をねん出するか悩ましい場合もあります。
同時廃止事件として扱われるのであれば予納金は少なくて済みますが、同時廃止事件として申立てたからといって、必ず同時廃止にしてくれるというわけではありません。管財事件となるか同時廃止事件となるかは、財産の内容等に応じて、裁判所が判断します。ですので、破産申立て前に、どちらの類型の事件に該当するかをよく見極めておかなければなりません。
管財事件となることが見込まれる場合で、すぐにはまとまったお金を用意できない場合には、破産申立てのための書類などの準備と並行して、予納金に充てるための費用をためていきます。
弁護士に破産手続きを依頼して、弁護士から債権者に受任通知(債務者から依頼を受けたことを知らせる通知)を送ると、債権者からの督促が止まりますので、依頼前より経済的に余裕が生まれるケースが多く、このタイミングを利用して予納金を貯めていきます。
破産手続にあたっては、申立手数料・予納郵券のほか予納金といった手続費用が必要です。予納金は、官報広告費用に加え、管財事件では最低20万円が必要となります。
破産申立の手続や費用面が心配という場合、まずは弁護士に相談し、費用の捻出方法をともに考えるなどして、無理のない計画を立てていきましょう。
このコラムの監修者
秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
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