このコラムの監修者
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秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
自己破産をして、借金がなくなると、経済的に追い詰められた生活から一転、健全な家計状況を手に入れられる方が多いでしょう。
また、破産手続を行った直後は、もう二度と破産しないように再起を胸に誓ったことでしょう。
しかし、時間が経つにつれ、じわじわと生活状況が変わっていき、いつしかまた一度破産したときのように、経済的に追い詰められているというパターンもあります。
そのようなとき、もう一度破産することができるのであればよいのですが、わが国の法制度では、2回目の破産は認められているのでしょうか。解説していきます。
2回目に自己破産をする前提として、自己破産をするためにはそもそもどのような条件が必要かをおさらいします。
「支払不能」とは、借金をしている人が、支払いをする能力がないために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態をいいます(破産法第2条11号)。
平たくいうと、収入や財産に乏しく経済的に困窮してしまい、借金を完済する見通しが立たない状態のことです。
破産という制度は、借金をしている人の借金をゼロにして、生活を再建するための制度です。
このように、借金をゼロにする、すなわち、借金を返さなければいけない責任を免除することを、「免責」といいます
もっとも、支払不能に陥っていたとしても、どんな人でも免責を受けられるというわけではありません。
支払不能に陥った経緯などに照らして、借金を免除させることがふさわしくない人については、免責を受けることはできません。
免責を受けさせることがふさわしくない事由(免責不許可事由)とは、たとえば次のような事由をいいます(破産法第252条)。
自己破産は、債務者にとっては借金がなくなるといういい効果をもたらしますが、お金を貸した人、つまり債権者にとっては、貸したお金を返してもらえなくなるという不利益を伴う手続です。
そのため、免責不許可事由がないかの審査をクリアして初めて、免責を受けることができるのです。
なお、免責不許可事由がある場合であっても、その程度が軽ければ、事案によっては、免責が認められることもあります。
自己破産の回数については、法律上は特に制限は設けられていません。
そのため、理論的には2回でも3回でも自己破産をすることは可能です。
ただし、前回の破産から今回の破産までの年数については、制限が設けられています。
自己破産の期間制限については、破産法に次のように定められています。
(免責許可の決定の要件等)
第二百五十二条 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
一~九 (略)
十 次のイからハまでに掲げる事由のいずれかがある場合において、それぞれイからハまでに定める日から七年以内に免責許可の申立てがあったこと。
イ 免責許可の決定が確定したこと 当該免責許可の決定の確定の日
ロ~ハ (略)
つまり、1回目の免責が確定してから、7年以内に再び破産申立てをした場合は、免責不許可事由に該当し、原則として2回目の免責は認められません。
なぜこのような規定があるのかというと、1回破産したあとまた借金をしてもまたすぐ破産できることになれば、安易に借金をし、すぐにそれを帳消しにすることを繰り返せることになり、破産という制度が濫用されてしまう可能性があるからです。
破産をした人にとって、この7年という期間制限があることで、2度目はない、という気持ちになり経済的更生を促す効果もあるでしょう。
では、7年以内に次の破産申立てをした場合には絶対に免責が認められないかというと、そうではありません。
先に述べたように、免責不許可事由があっても、裁判所が免責を認める場合があります。
これを、裁量免責といいます。
ただし、そのハードルは低いとは言えないと理解しておいたほうがいいでしょう。
2回目に破産申し立てをしたけれども、破産法の制限期間に引っかかってしまうなどして、免責が認められなかった場合には、借金を返していくしか方法はないかというと、そうではありません。
任意整理(債権者との交渉)や、過払い金の返還請求、時効の援用など、検討すべき方法は多くあります。
どの方法をとることができるかは事案によって異なりますので、弁護士にご相談ください。
このコラムの監修者
秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
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