このコラムの監修者
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秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
借金を返済期限までに返すことができず、長期間滞納してしまうと、「代位弁済」がなされることがあります。代位弁済によって、債務者の方には、どのような影響があるのでしょうか。
この記事では、代位弁済とはどのような制度なのか、代位弁済が適用されるとどのようなリスクがあるのかについて解説いたします。
代位弁済とは、債務者の方以外の第三者(保証人など)が、債務者の代わりに債権者に対して債務の弁済を行うことを言います。身近なところでいえば、住宅ローンやカードローンなどの金融機関からの借入れを滞納すると、保証会社(保証人になっている会社)が代位弁済を行うことになるでしょう。どういう会社が保証会社になっているのかというと、銀行から借金をした場合でいえば、その銀行の子会社や、提携している消費者金融・信販会社がほとんどです。
代位弁済では、債務者の代わりに第三者が弁済するため、一見借金を第三者が肩代わりしてくれるような、債務者にとって有利な制度のようにも思えます。
しかし、代位弁済されたからといって、借金額が減ったり、返済が猶予されたりするという効果はありません。代位弁済によって、借金の借入れ先が、もともとの債権者から代位弁済を行った第三者に変わるだけです。債務者は、その第三者に対して引き続き弁済を行わなければなりません。
お金の借入れにおける代位弁済は、債務者の利益ではなく、債権者の利益のためにとられる制度となっています。
金融機関は、お金を貸し付けた後、返済が受けられず貸倒れとなってしまっては、大きな損失を被ることになってしまいます。このような貸倒れによる損失発生のリスクを防ぐために、金融機関は、保証会社にその債務を保証してもらいます。こうすることで、貸倒れが起こっても、債務者の代わりに保証会社が金融機関に対して返済してくれるので(代位弁済)、債権者としては貸し付けたお金を確実に回収することができることになります。
代位弁済に至る流れについては、各金融機関によって異なる部分もありますが、おおまかには以下のような流れで進んでいきます。
債務者の方が借金の返済を滞納すると、債権者(借入先)から電話や郵便などで督促がなされます。
督促を受けた後、速やかに返済をすれば代位弁済は行われません。しかし、督促を受けたにもかかわらず、3回以上または90日以上の支払いの遅延が続いてしまうと、代位弁済の手続がとられる可能性が高まります。
督促にもかかわらず、一定期間滞納状態が続いた場合、債権者は、保証会社に対して、債務者の借金について代位弁済を求めます。保証会社はそれに応じて、債権者に対して代位弁済を行います。
保証会社が代位弁済を行ったことで、お金の貸主としての地位は、もとの債権者から保証会社に移ります。保証会社から債務者の方に対して、「代位弁済通知」が届きますので、債務者はそれを見て、代位弁済がなされたことを知ることができます。
上記の代位弁済の流れを見れば分かるとおり、代位弁済が行われることによって債権者が変わるだけです。代位弁済されること自体が何らかの不利益になるわけではありません。もっとも、代位弁済に至った状況では、次のようないくつかのデメリットが発生しているでしょう。
以下、A銀行からの借金を支払えなくなってB社に代位弁済された、というケースを考えてみます。
最大のデメリットと考えられるのは、残っている借金について一括請求されることです。
もともと、A銀行からの分割払いの借金については、返済日が来るまで返済をしなくていいという権利があります。これを「期限の利益」といいます。
この期限の利益については、返済を一定回数、又は一定期間怠った場合には失われるという内容が、A銀行からの当初の借入れの際の契約内容として規定されていることがほとんどです。つまり、A銀行への返済を怠ると、残りの借金を一括で支払わないといけなくなります。毎月数万円ずつ分割払いする予定のところに、一気に数十万、数百万という請求が来ることになるため、非常に支払いが苦しい状況となってしまいます。さらに、この一括弁済に応じられなければ、遅延損害金が加算されていきますので、借金の金額が膨らんでいってしまいます。
その後、B社に代位弁済されることになるでしょう。したがって、代位弁済に至った状況では、借金を一括請求されるデメリットが既に発生していることになります。もっとも、B社と交渉することで、分割払いにしてもらえる可能性はあります。
A銀行からの借金を滞納すると、いずれ信用情報には登録されてしまいます。A銀行への滞納やB社の代位弁済の事実が、信用情報に登録されることになります(これらによっていわゆるブラックリストに載るということ)。
ブラックリストに載ってしまうと、新規に借入れを行う際など、金融機関の審査を受ける場合に足かせとなってしまうことがあります。
代位弁済を避ける、言い換えれば借金を予定どおりに支払っていけるようにするためには、まずは計画的に借入をすることです。それでも返済が苦しい状況となってしまった場合には、早めに弁護士に相談し、債務整理を検討しましょう。
このコラムの監修者
秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
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