このコラムの監修者
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秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
任意整理は、自分自身で行うことは難しく、弁護士に依頼してやってもらいたいという方が多くいらっしゃいます。
もっとも、弁護士に依頼したくても、弁護士費用が高いのではないか、払えないのではないかと不安で、弁護士に相談すべきかどうか、二の足を踏んでいる方もおられるのではないでしょうか。
そこで、今回は、任意整理を弁護士に依頼する場合の費用について解説いたします。
弁護士は、原則として、依頼を受けた事件の弁護士費用を自由に決めることができます。そのため、個々の事件の弁護士報酬の額は、事件の種類や難易度に応じて、弁護士が定めます。
しかし、任意整理を含む債務整理事件や、これに伴う過払金請求事件については、日本弁護士連合会(日弁連)が、「債務整理事件処理の規律を定める規程」において、報酬などに関するルールを定めています。
なぜ、本来個々の弁護士に委ねられているはずのことが、債務整理や過払金請求については日弁連が規制をしているのでしょうか。実は、一時期、過払金バブルと呼ばれるほど過払金請求を含む債務整理事件が多く発生した際に、債務整理事件について一部の弁護士によって不適切な勧誘、受任及び法律事務処理がなされたり、不適切かつ不当な金額の弁護士費用の請求・受領がなされたりしているとの批判の声が上がりました。そこで、日弁連が「債務整理事件処理の規律を定める規程」を定め、弁護士はこのルールに従うことになりました。
2011年4月1日以降に弁護士に依頼した債務整理事件については、この規程が適用されます。
相談料については、上記規程ではとくにルールは設けられていません。
実際上、初回無料~1時間1万円程度の法律事務所が多くみられます。
着手金とは、成功するかどうか依頼時には決まっていない事件について、結果がどうなるかにかかわらず、依頼したときに弁護士に払う報酬です。もっとも、法律事務所によっては後払い可能なこともあります。
規程には、上限の定めはとくにありませんが、着手金の額を決める際に弁護士が考慮すべき要素について定められています。また規程では、着手金は通常の任意整理事件で想定されている事務処理にかかる手間を考慮して金額を決めるので、ここで想定されているものについて追加で着手金をとることは、原則として禁止されています。たとえば、過払金請求事件においては、一般的に利息の引き直し計算が必要となりますが、過払金請求についての着手金に追加して引き直し計算の着手金(手数料)を取るということをしてはいけない、とされています。
実際上、債権者1人(1社)あたり3~5万円程度の事務所が多くみられます。
報酬金とは、成功するかどうか依頼時には決まっていない事件について、成功した程度に応じて弁護士に支払う報酬のことです。
報酬金については、上記規程によって上限規制がなされています。
弁護士は、次の報酬金以外の報酬金を受け取ってはいけないことになっています。
報酬の上限規制について、具体的な例に沿ってみてみましょう。
【X消費者金融との関係での報酬金の上限】
小計22万円…①
【Yクレジットカード会社との関係での報酬金の上限】
小計5万円…②
よって、この事件での報酬金は、①+②=27万円+消費税となります。
そしてこの事件の場合には、報酬金は過払い金(50万円)から全て精算でき、約23万円をAさんに返金することになります(なお、着手金は依頼時に別途発生しています)。
過払い金がなければ、そこからの精算ができないので報酬金を支払うことになりますが、法律事務所によっては分割払いが可能なこともあります。
任意整理の弁護士費用についての設定の仕方のルールや、上限についてご紹介いたしました。
規程では、着手金については上限がありませんし、報酬金については上限があるものの、どういう解決結果になるかによって、具体的な金額が個別に決まってくることになります。そのため、着手金はともかく、報酬金を含めて最終的にいくらかかるのかを任意整理する前に厳密に知っておきたいといっても、それは難しいです。
とはいえ、経験豊富な弁護士に相談すれば、事件の大まかな見立てを立ててもらったうえで、(厳密とまではいかなくても)費用がおおよそどれくらいになりそうなのか、きちんと説明を受けることができます。そのため、法律相談を一度受けてみることをお勧めします。
このコラムの監修者
秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
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