このコラムの監修者
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秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
借金の返済が苦しくなってきたので、弁護士に依頼して任意整理をしたいけれども、弁護士費用が払えるのか心配とお思いの方もおられるかと思います。
たしかに、法律事務所に依頼すると、かなり高額な弁護士費用を取られるというイメージもあります。弁護士は、その専門性を駆使して、ご依頼者の方の権利を守るため、ある程度の費用がかかるのは事実です。
しかし、任意整理など、債務整理手続きにおいては、まさにご依頼者の方自身がお金に困っている状況ですから、弁護士への依頼のためにまとまったお金を用意しなければならないとなっても、到底用意できず、どうしようもないということになりかねません。
ところが、実際には、今手持ちがないという方でも、ご相談に来られ、任意整理のご依頼をいただくこともあります。現時点で手持ちがなくても、弁護士に任意整理を依頼することは不可能ではないのです。
この記事では、手持ちがない場合でも、弁護士に債務整理を依頼する方法をご紹介します。
弁護士は、原則として、依頼を受けた事件の弁護士費用を自由に決めることができます。そのため、個々の事件の弁護士費用の額は、事件の種類や難易度に応じて、弁護士が定めます。
そのため、同じ任意整理であっても、事務所ごとに弁護士費用の額や、支払い時期について、違いがあります。
任意整理の弁護士報酬は、一例ですが、基本報酬として、債権者一社あたり〇万円、債務を減額できた場合には、基本報酬に加えて減額できた金額の〇%の額、などというように、債権者数や減額幅に応じた報酬形態をとっているところも多くあります。
また、依頼直後にまとまった金額を払えないという場合には、弁護士費用について一括払いではなく、数回の分割払いを認めているところもあります。
先に書いたとおり、任意整理の弁護士費用は、事務所ごとに様々です。最近では、法律事務所のホームページに、料金体系を記載しているところもありますので、まずはそれを確認してみましょう。
また、ホームページなどに記載されていなくても、弁護士費用の分割払いが可能な場合もあります。具体的な弁護士費用や分割の可否は、弁護士が実際に相談を聞いて決定していることも多くありますので、実際に法律相談に行かれることをおすすめします。
なお、どの法律事務所に任意整理を依頼するかを検討するにあたっては、弁護士費用の金額ももちろん重要な一要素です。しかし、担当してくれる弁護士が任意整理を熟知しているか、弁護士との相性はどうかという点などのほうが、実はもっと重要です。こうした点も、やはり実際に相談に行ってみないと分からないことです。
法テラスとは、日本司法支援センターの愛称で、国によって設立された法的トラブル解決のための総合法律事務所です。法テラスは、様々な業務を行っており、その中の1つに「民事法律扶助業務」というものがあります。
民事法律扶助業務は、経済的に余裕がない方が、法的なトラブルにあってしまった場合に、弁護士費用などの立替えを行う業務です。
民事法律扶助を利用する条件として、月収が一定額以下であることと、保有資産が一定額以下であることなどの要件があります。任意整理を検討されている方の場合、この要件を充足する可能性もあります。
法テラスに弁護士費用の立替えを行ってもらった場合、月額1万円ずつを上限に、法テラスに対して立替え費用を返済していくことになります(詳細は法テラスにお問合せください)。
もっとも、全ての法律事務所で法テラスを利用できるわけではありません。弁護士の個人的信条など様々な理由で法テラスと契約していない(=相談者は法テラスを利用できない)こともあります。
任意整理を専門家に依頼するのが面倒、手持ちがなくて弁護士に依頼できないなどの理由で、借金問題をそのままにしてしまうことには、大きなリスクが伴います。
まず、借金には利息や遅延損害金の定めがなされていますので、借金を長期間放置すればするほど、返済すべき金額は膨れ上がっていきます。こうなると、借金を返すことがより一層難しくなります。
借金を返さないでいると、最初は債権者から、書類などで督促がなされます。それをも無視して借金を放置していると、その後、債権者から貸金返還の訴訟を起こされることがあります。
借金がある以上、この訴訟の判決などで、借金を支払えという判断が下されます。それでもなお、借金を返さなければ、最終的には、財産や給料などの差押えをうけることになってしまいます。
念のためですが、任意整理をすると、債権者にお金を返済していくことになります。したがって、そのお金を支払う原資(お金の出所)としては、確実なものが必要です(あなたの給料にせよ、身内からの援助にせよ)。「今手持ちがない。今後も返済していけるメドが全く立たない」という場合には、任意整理ではなく自己破産を検討する必要が出てきます。
手持ちがない場合であっても、任意整理を弁護士に依頼することが可能であることと、手持ちがないからといって借金問題を放置すると事態が悪化してしまうことがお分かりいただけたかと思います。
もっとも言うまでもありませんが、任意整理で債権者に借金を返していく以上、今手持ちがないとしても毎月確実に支払っていけるというメドは必要です(給料でも援助でもとにかく確実なものであれば、お金の出所はあまり問題ではありませんが)。
借金問題にお悩みで、任意整理を検討されている方は、手持ちのある・なしを問わず、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。
このコラムの監修者
秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
はじめに 任意整理をして返済プランを見直した後、収入が減ってしまったり、出費がかさんで借金の返済に充てる分を確保するのが難しくなってしまったりする場合があります。 このような場合、いったん合...
破産=財産の清算 破産手続というのは、破産法の定めるところにより、債務者(=借金を抱えている人)の財産を清算する手続のことをいいます(破産法2条)。 「破産すると借金がなくなる」といわれるこ...