アコムの借金を時効援用で解決できる?条件・手続き・費用から信用情報まで徹底解説! |東京都台東区 債務整理に注力している弁護士です 借金問題無料法律相談 秋葉原よすが法律事務所【東京弁護士会所属】

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アコムの借金を時効援用で解決できる?条件・手続き・費用から信用情報まで徹底解説!

ある日突然、アコムからハガキ・手紙が届いて、そういえば借金が残っていた、返済していなかったことを思い出した…。

アコムから請求書が定期的に届いているが、そのまま捨ててしまい、返済も全くしていなかった…。

 

「もうかなり昔の借金だし、返す義務はあるの?時効では?」「一括で返済なんて無理…」など、疑念と不安が入り混じっていることでしょう。

 

この記事は、アコムからの借金を長年返済していない方に向けたものです。

消滅時効という制度があり、条件を満たせば、借金の返済義務がなくなる可能性があります。

しかし、消滅時効の成立には、正確な知識と適切な手続きが不可欠です。

 

以下では、アコムの借金が時効になるための条件、具体的な手続き方法、必要な費用、そして信用情報への影響について解説します。

万が一、時効援用に失敗した場合のリスクや、アコム側の動きへの対処法もご紹介します。

この記事を読むことで、あなたが抱える借金問題解決への第一歩を踏み出すための、具体的な情報を得られるはずです。

1 まず確認!アコムの借金と消滅時効の基本ルール

「アコムの借金が時効になるって本当?」

この疑問をお持ちの方は少なくないでしょう。

 

まずは、借金の消滅時効《しょうめつじこう》という制度の基本的な仕組みと、アコムのような消費者金融からの借金にどう適用されるのか、基本ルールを確認していきましょう。

法律に詳しくない方でも分かりやすいように、ポイントを絞ってご説明します。

 

(1)そもそも消滅時効とは?借金がなくなる法的な仕組み

 

消滅時効とは、一定期間権利が行使されない場合に、その権利が消滅するという法律上の制度です。

アコムからの借金で言えば、債権者(お金を貸した側、アコム)が一定期間、返済を求めるなどの権利行使をしていない場合、債務者(お金を借りた側、あなた)が時効を主張することで返済義務がなくなる、というものです。

 

用語 読み 意味
消滅時効 しょうめつじこう 権利者が権利を行使しない状態が一定期間続いた場合に、その権利が消滅すること。
債権者 さいけんしゃ 金銭を貸し付けた人(アコム)
債務者 さいむしゃ 金銭を借り入れた人(あなた)

 

消滅時効の制度は、債権者が権利を行使しない状態が一定期間続いた場合に権利消滅を認めることで、生活関係の安定を図ることが主な目的です。

債務者の立場からいえば、「永遠に借金のプレッシャーにさらされる事態を防いでくれる制度」ということになります。

 

(2)アコムの借金に適用される時効期間は原則5年

 

アコムからの借金は、いつの時点から何年で時効になるのでしょうか。

原則として、期限の利益を喪失した日から5年、ということになります。

 

期限の利益喪失というのは、分割払いで良いという利益を失って、残額を一括請求される状況になることです。

いつ期限の利益を喪失するのかというと、基本的には、借金を返済すべきだった日の翌日になります。

 

アコムのウェブサイトにある「AC会員規約」によれば、ショッピング等の利用代金を除いて、アコムに対する支払いが遅れたら、アコムからの通知等がなくても期限の利益を失う(残債務全額をただちに支払う)とされています(本稿執筆時点のもの)。

***引用ここから***

第12条(期限の利益の喪失)

1.会員が次のいずれかに該当する場合には、当社からの通知、催告がなくても当然に当社に対する債務について期限の利益を失い、残債務全額をただちに支払うものとします。

(1)住所、勤務先変更の届出を怠るなど、会員の責めに帰すべき事由によって当社に会員の所在が不明となったとき。

(2)ショッピング等の利用代金について支払期日に弁済金の支払を遅滞し、当社から20日以上の相当な期間を定めてその支払を書面で催告されたにもかかわらず、その期間内に支払わなかったとき。

(略)

3.前二項に定めるほか、次に定める会員が、本規約に基づく債務であるかを問わず当社に対する債務(ショッピング等の利用代金を除く。)の支払を遅滞したときは、当該会員は、当社からの通知、催告がなくても当然に当社に対する債務について期限の利益を失い、残債務全額をただちに支払うものとします。

(1)平成19年6月18日以降に新たに入会した会員

(略)

***ここまで***

時効期間は5年となります。

2020年4月の民法改正で5年の時効期間が導入されましたが、改正前もアコムからの借金(会社からの借金)については違う法律で5年とされていましたので、実質的には変わりはありません(商事時効5年が適用されていました)。

 

(3)2020年4月の民法改正はアコムの時効に影響する?

 

先に述べたように、実質的な影響はありません。

2020年4月1日に民法が改正され、時効に関するルールも一部変更されましたが、主な変更点は以下の通りです。

 

改正前の時効期間の原則 改正後の時効期間の原則
権利を行使することができる時から10年間 1. 債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間
2. 権利を行使することができる時から10年間
(上記1、2のいずれか短い方)

 

アコムは、所定の期限内に支払いがないと分かったら、規約に基づいて残債務全額をただちに請求できる、ということを知りますので、そこから5年で時効となります。

民法改正前からのアコムからの借金も、別の法律で時効期間が5年とされていたため、民法改正の影響は事実上ありません。

2 アコムの時効が成立するための4つの重要条件【セルフチェックリスト付】

アコムの借金が時効で消滅するためには、単に5年の期間が経過するだけでは不十分です。

以下の4つの重要な条件をすべて満たす必要があります。

ご自身の状況と照らし合わせながら確認してみましょう。

 

No. 条件 チェック
1 返済すべきだった日または債務承認から5年以上が経過している
2 過去10年以内にアコムから裁判や支払督促をされていない
3 時効期間の進行中および完成後に「債務の承認」をしていない
4 アコムに対して「時効の援用」をする □ (これから行う予定)

 

これらの条件を一つずつ詳しく見ていきましょう。

 

(1)条件1:返済日または債務承認から5年以上が経過している

 

民法166条によると、アコムが権利を行使することができることを知った時から、5年の時効が進行します。

つまり、所定の返済期限(返済すべきだった日)を過ぎた時から5年ということになります。

(アコムとしては、分割払いの返済期限を過ぎれば、残額も含めて一括請求できる)

 

所定の返済期限がいつなのかは、資料から判明したり、推測できたりすることもあります。

しかし場合によっては、全くわからないこともあるでしょう。

 

(例)アコムの借金の返済を何年か前に止めた。請求書を最近見ていないし、内容や金額などは一切不明である。

 

こういう場合は、便宜上の措置として、「アコムに5年以上支払っていないかどうか」という記憶をもとに、一応の推測をするしかありません。

もちろん、その記憶に基づいて時効援用をしたとしても、実際には5年経っていなかった場合には、アコムからその旨反論されますし、支払義務が残っていることになります。

 

なお、もし途中で支払いの約束をするなど「債務の承認」にあたる行為(後述します)をしていれば、その承認があった時から新たに5年間のカウントが始まります。

 

(2)条件2:過去10年以内にアコムから裁判や支払督促をされていない

 

時効期間が進行している途中で、アコムが裁判所に訴訟を起こしたり、支払督促《しはらいとくそく》の申し立てをしたりすることがあります。

これは、あなたに対する貸金が時効で消滅しないようにするためのものです。

 

裁判で判決が確定した場合などは、その確定日から新たに10年間、時効が成立しなくなります。

(訴訟上和解が成立した場合なども同様です)

 

「裁判なんて起こされていないはず」と思っていても、実は裁判所からの郵便物が届いていた、という場合もあります。

もし可能であれば、過去の郵便物を調べてみるなどしてみましょう。

 

(3)条件3:時効期間の進行中および完成後に「債務の承認」をしていない

 

時効期間進行中に、借金の存在を認めるような行為(債務の承認)をしてしまうと、「時効の更新」が生じます。

 

それまでの時効期間はリセットされ、新たに時効期間がスタートしますので、そこから改めて5年(判決等が有る場合は10年)が経たないと、時効になりません。

 

なお5年の期間が経過した後に、「債務の承認」(債務自認行為)をしてしまうと、その後に消滅時効の援用をしても、信義則上認められない可能性が出てきます。

 

①要注意!これらは「債務の承認」にあたる危険性が高い行為リスト

 

具体的にどのような行為が「債務の承認」と評価される可能性があるのでしょうか。

例えば、以下のようなものです。

 

①一部弁済:
借金の一部でも支払うこと(例:5000円だけ支払うなど)。

②支払いの意思表示:
「もう少し待ってほしい」「分割でなら払える」などと伝えること。

③債務承認書への署名:
アコムから送られてきた「債務承認書」や「和解書」などに署名・捺印すること。

④支払計画への合意:
アコムが提示した新しい支払計画に合意すること。

⑤支払猶予の申請:
アコムに対して、支払いの猶予をお願いすること。

 

こうした行為があると、借金の存在を認めたと判断される可能性があり、こうした行為が全くない場合に比べると、相対的に時効の援用が失敗する可能性が高くなってきます。

 

「アコムから、5年以上ずっと支払っていない借金の請求が来た」という場合に、あわててアコム担当者と話をしてしまうと、「債務の承認」をしてしまう可能性が高くなります。

 

したがって、そのような場合には、すぐに弁護士に依頼するほうが適切です。

 

(4)条件4:アコムに対して「時効の援用」を通知する

 

上記の条件1から3までを満たしていても、自動的に借金がなくなるわけではありません。

 

「時効なので借金の支払義務はありません」という通知(=消滅時効による利益を受けるという意思表示)を、アコムに対して行う必要があります。

これを「時効の援用《えんよう》」といいます。

 

この通知をしない限り、法的にはまだ返済義務が残っている状態となります。

3 アコムへの時効援用手続き 完全ガイド|自分でできる?専門家へ依頼するべき?

消滅時効の条件を満たしている可能性が出てきたら、次はいよいよ「時効の援用」の手続きです。

この手続きは、ご自身で行うことも一応可能です。

 

しかし、内容を間違える可能性があったり、もし時効にならなかった場合の債務整理(分割払の交渉など)を検討する必要があったりしますので、弁護士に依頼して行うことをおすすめします。

 

ここでは、自分で手続きを行う場合の具体的なステップと、専門家に依頼する場合のメリット・デメリットについて解説します。

 

(1)自分で時効援用を行う場合の4ステップと注意点

 

自分で時効援用手続きを行う場合、おおまかな流れは以下の4ステップになります。

 

①ステップ1:取引履歴の取り寄せと最終返済日の正確な確認(省略可能なこともある)

 

アコムに連絡を取り、取引履歴を開示してもらうことによって、債務状況が確認できます。

特定の会員番号でどういう取引をしてきたのかや、債務残高が判明します。

取引履歴の取り寄せ方法は、アコムに問い合わせれば確認できます。

 

②ステップ2:時効成立の条件を満たしているか再確認

 

取引履歴やご自身の記憶、過去の書類などを基に、前述した、時効が成立する条件を満たしているか、再度確認します。

所定の返済期限から5年以上経過しているか、途中で裁判や支払督促がなかったか、債務の承認にあたる行為がなかったか、が重要です。

返済期限が不明なら、便宜上の措置として「5年以上支払っていないかどうか」で、推測するしかありません。

 

③ステップ3:時効援用通知書の作成と内容証明郵便発送

 

アコムに送付する「時効援用通知書」を作成します。

この通知書には、おおむね以下のような情報を記載します。

 

・会員番号

・時効を援用する旨の明確な意思表示(例:「貴社に対する下記債務について、消滅時効を援用します」)

・ご自身の氏名、住所、生年月日

・アコムの会社名、住所

 

④ステップ4:アコムへの送付と控えの保管

 

作成した通知書は、郵便局で「内容証明郵便《ないようしょうめいゆうびん》」という特殊な方法で送付します。

内容証明郵便は、「いつ、どのような内容の文書を、誰が誰あてに差し出したか」を郵便局が証明してくれる制度です。

 

「e内容証明」なら、インターネットで差し出し可能です。

「配達証明」を付けておけば、配達日が記載されたハガキが、後で届きます。

※詳細については、郵便局にご確認下さい。

 

送付後、以下の書類を保管しておきます。

 

・内容証明郵便の控え(e内容証明なら郵送で届く)

・配達証明書(後日ハガキで届く)

 

これらの書類が、「時効援用の意思表示を通知した」という証明になります。

念のためですが、これは「時効援用をした証拠」であって、「アコムが時効を認めた直接的な証拠」ではありません。

 

(2)弁護士に時効援用を依頼するメリット・デメリット

 

時効援用手続きは自分でも行えますが、文書作成や内容証明差し出しなどは慣れていないと難しいですし、「やり方を調べているうちに、手つかずのまま放置してしまった」ということにもなりかねません。

そのため、弁護士に依頼する方が確実で安心です。

自分で手続きを行うことに不安がある方や、アコムとのやり取りを避けたい方は、専門家への依頼を検討してみましょう。

 

以下に、メリットとデメリットをまとめました。

 

①メリット

・手続きの正確性:
法的に不備のない書類作成や手続き進行が期待できる。

・アコムとのやり取り:
弁護士が直接やり取りしてくれるため、精神的負担が少ない。やり取りの中で債務の承認をしてしまうリスクも避けられる。

・時間の節約:
自分ですると慣れておらず手間取るが、依頼すれば早く進めていくことができる。

・成功率の上昇:
時効不成立の反論があっても、その妥当性や裁判で争えそうかどうか等を専門的視点で判断でき、成功率が高まる。

 

②デメリット

・依頼費用が発生する。

 

(3)アコムの時効援用にかかる費用相場(自分で実施 vs 弁護士依頼)

 

時効援用にかかる費用は、自分で行うか弁護士に依頼するかで異なってきます。

おおよその費用相場は以下の通りです。

 

手続き方法 費用の内訳例 費用相場 備考
自分で実施 内容証明郵便の費用 約2,000円程度
弁護士に依頼 時効援用代理費用、任意整理費用

(着手金、報酬金など)

(数万円+報酬金)程度

※任意整理の場合

・依頼内容によります。

(文書作成限定、時効失敗時分割交渉を含む(任意整理)、裁判対応など)

・日弁連規程で、債務整理の報酬金の上限が定められています。

4 時効援用の結果はどうなる?成功した場合と失敗した場合

時効援用通知書をアコムに送付した後、その結果がどうなるのかは非常に気になるところです。

大きく分けて、時効援用が成功した場合と、残念ながら失敗してしまった場合に分かれます。

それぞれのケースでどのような状況になるのか、詳しく見ていきましょう。

 

(1)時効援用が成功!アコムからの請求は止まり、借金は法的に消滅

 

アコムが時効を認める場合、自主的に「この債権は時効だ」という処理を行います。

その結果、以後、請求も来なくなります。

 

・アコムからの電話や郵便物による督促が止まる。

(法的に借金を支払う必要がなくなる)

・長年の借金のプレッシャーから解放され、精神的な安心感が得られる。

 

(2)もし時効援用に失敗したら…考えられるリスクと正しい対処法

 

一方で、時効の条件を満たしていなかったなどの理由で、時効援用に失敗してしまうケースもあります。

その場合に考えられるリスクは以下の通りです。

 

①アコムから改めて支払いを請求される:

時効が成立していないため、アコムは引き続き返済を求めてきます。

 

②訴訟、支払督促、強制執行を受ける可能性:

アコムが法的手続きで裁判所を通じて請求してきたり、(既に判決・支払督促を受けていた場合は)強制執行されたりする可能性があります。

 

③遅延損害金が加算され続ける:

返済が遅れている期間に応じて、遅延損害金《ちえんそんがいきん》が加算され続けます。

 

時効援用が失敗してしまった場合は、放置せずに弁護士に相談し、債務整理(任意整理、自己破産、個人再生など)を検討することが重要です。

 

(3)時効の「更新」(旧:時効の中断)とは?期間がリセットされるケース

 

時効の進行中に特定の事柄が発生すると、それまでに経過した時効期間が無かったことになり、新たにゼロから時効期間がスタートします。

これを「時効の更新《こうしん》」といいます(2020年の民法改正前は「時効の中断」と呼ばれていました)。

主な時効の更新事由は以下の通りです。

 

時効の更新事由 具体例
確定判決等による権利確定 アコムが訴訟や支払督促を申立て、判決や支払督促が確定した。
強制執行等 アコムが判決などに基づき、給与や預金などの差し押さえを行った。
債務の承認 借金の一部返済、支払いの意思表示、和解契約の締結など。

 

これらの事由が発生すると、せっかく進行していた時効期間がリセットされてしまうため、時効援用を目指す上では細心の注意が必要です。

5 アコムの時効と信用情報(ブラックリスト)への影響

アコムの借金を長期間滞納している結果、既にいわゆる「ブラックリスト」に登録されているはずです。

(信用情報機関で事故情報が登録されている)

時効援用が成功した場合、この信用情報はどうなるのでしょうか。

 

(1)アコムの借金を滞納すると信用情報(CIC・JICC)はどうなる?

 

アコムのような貸金業者は、信用情報機関に加盟しています。

主な信用情報機関には、CIC《シーアイシー》、JICC《ジェイアイシーシー》、全国銀行個人信用情報センターがあります。

アコムが加盟しているのは、CIC、JICCの2つです。

 

借金の返済を2~3ヶ月以上延滞すると、これらの信用情報機関に「延滞」や「異動」といった事故情報が登録されます。

事故情報は、他の金融機関も照会できるため、新たな借入れやクレジットカードの作成、ローンの審査などに大きな影響を与えます。

 

(2)時効援用で信用情報は回復する?事故情報の抹消時期の目安

 

時効援用が成功し、アコムへの返済義務がなくなった場合、信用情報はどうなるのでしょうか。

 

①JICCでは、時効援用が成功すると、その借金に関する情報が削除されることになっています。

(JICCのサイト上の「よくある質問」に説明がありますので、詳しくはそちらをご参照下さい)

***引用ここから***

「時効の援用」については、お客さまが債権者である登録会社に対し「時効の援用」をし、登録会社と認識に相違がない場合に、時効の起算日に遡って完済として登録されます(その時点で登録期間経過により登録情報は抹消されます)。

***ここまで***

情報削除の手続きのために、アコムが時効を認めてから1か月程度の時間はかかります。

 

②一方、CICでは、「完了」といった形で情報が更新され、一定期間(5年間)情報が残る可能性があります。

 

完全に情報が抹消されるまでの期間はケースバイケースですが、時効援用が成功すれば、いずれはクリーンな状態に戻る可能性が高いとは言えるでしょう。

ただし、回復までには時間がかかることを理解しておく必要があります。

 

(3)自分の信用情報を確認する方法(開示請求の手順)

 

ご自身の現在の信用情報がどうなっているか気になる場合は、各信用情報機関に情報開示を請求することで確認できます。

主な確認方法は以下の通りです。

 

①CIC (株式会社シー・アイ・シー):

インターネット開示、郵送開示

 

②JICC (株式会社日本信用情報機構):

スマートフォンアプリによる開示、郵送開示

 

各機関のウェブサイトで詳細な手続き方法を確認できます。

開示手数料がかかりますが、ご自身に関する情報を正確に把握するために有効な手段です。

 

6 アコム側の動きにも注意!時効成立を妨げかねないケースと対処法

返済をしないままでいると、アコム側から何らかのアクションがなされることが多いです。

時効になりそうなくらい、つまりは5年以上支払ってなさそうな場合についても同様です。

アコムも債権回収のために様々な手段を講じてきますので、不用意な対応で時効成立のチャンスを逃さないよう注意が必要です。

 

(1)アコムからの督促状や電話への正しい対応とは?

 

アコムから長期間連絡がなかった場合でも、ある日突然、督促状が届いたりすることがあります。

このような場合、慌てて以下のような対応をしないように気をつけましょう。

 

・督促状の連絡先に電話してしまう:
支払方法等を詰めるやり取りになって、「債務を承認したから時効ではない」と指摘されるリスクが高くなります。

 

・安易に支払いの約束をする:
「少しなら払えます」「いついつまでに支払います」といった発言をしたような場合も、同様です。

 

このように、自分でアコムと直接話をするというのは、債務承認させられてしまうリスクが高いです。

時効が成立している可能性がありそうなら、まず弁護士に相談しましょう。

 

(2)裁判所から通知(訴状・支払督促)が届いた場合の緊急対処法

 

もしアコムからではなく、裁判所から「訴状《そじょう》」や「支払督促」といった書類が届いた場合は、絶対に無視してはいけません。

これは法的手続きが開始されたことを表しており、時効の成立・不成立にも影響してきます。

 

・訴状が届いた場合:
指定された期日までに「答弁書《とうべんしょ》」を裁判所に提出し、裁判期日に出頭する必要があります。

 

・支払督促が届いた場合:
受け取ってから2週間以内に裁判所に「異議申立書《いぎもうしたてしょ》」を提出しないと、強制執行(給与差し押さえなど)をされる可能性が出てきます。

異議申立書を提出すると通常の裁判に移行し、裁判期日が指定・通知されます(以後、訴状が届いた場合と同様)。

 

これらの書類が届いたら、速やかに適切な対応をとる必要がありますので、直ぐに弁護士に相談すべきです。

特に訴状を放置して判決確定してしまうと、訴状が届いた時点なら時効を援用できたはずの借金であっても支払わなければならなくなりますので、注意が必要です。

(さらに、判決確定から10年経たないと時効にはなりません)

 

(3)債権譲渡でアコム以外の会社から請求が…時効への影響は?

 

アコムが、回収が難しいと判断した債権を、債権回収会社(サービサー)に譲渡することがあります。

その場合、アコムではなく、聞き慣れない債権回収会社から請求が来るようになります。

ちなみにアコムから譲渡される先の会社は、「アイ・アール債権回収」が多いです。

 

しかし、債権譲渡によって債権者が変わったとしても、原則として時効の成立条件や時効期間は変わりません。

債権譲渡の通知が届いたら、譲渡日や譲渡された債権の内容(元のアコムの契約内容)などをしっかり確認し、時効の条件を満たしているか改めて検討しましょう。

7 アコムの時効援用に関する解決事例

アコムの時効援用に成功した解決事例をご紹介します。

 

【解決事例①】アコムの時効援用に成功したMさんのケース(850万→ゼロ)

Mさんは、アコムから250万円を借入れましたが、返済せずそのまま10年以上経過していました。

ある日アコムから届いた催告書によると、遅延損害金も含めると850万円以上になっており、さらに後日、Mさんを訴えるという手紙まで届いてしまいました。

 

依頼を受けた当事務所が時効援用の手続きを進めたところ、アコムから消滅時効を認めるという回答があり、債務はゼロになりました。

 

【解決事例②】アコムの時効援用に成功したHさんのケース(170万→ゼロ)

アコムの「訴訟等申立予告通知」がHさんのもとに届きました。

元金は約50万円でしたが、遅延損害金も含めると170万円以上になっていました。

 

依頼を受けた当事務所が時効援用の手続きを進めたところ、アコムから消滅時効を認めるという回答があり、債務はゼロになりました。

 

8 Q&A:アコムの時効に関する疑問を専門家が解消

アコムの時効に関して、多くの方が抱く疑問についてお答えします。

 

Q. アコムから長年連絡がないけど、時効は自動で成立するの?

 

A. いいえ、時効は自動的には成立しません。
たとえ時効期間(原則5年)が経過していても、あなたからアコムに対して「時効なので支払いません(時効を援用します)」という意思表示をしなければ、法的には返済義務が残ったままです。

 

Q. アコムはどうして今頃請求してきたの?

 

A. 例えば、住民票を変えたのがきっかけで請求が来るようになったというケースは、しばしば目にするところです。
時効援用をしないかぎり債権は消滅していませんので、請求してきたこと自体は、何ら不思議なことではありません。
きちんと時効援用の手続きを進めるべきでしょう。

 

Q. アコムに少しでも支払ったら、時効期間はリセットされる?

 

A. 争う余地がないわけではありませんが、払っていない場合よりは不利に働く可能性があります。
「債務の承認にあたる」と評価されるリスクを減らすためには、支払わないことが重要です。
時効が疑われるほどの昔の借金については、たとえ少額であっても、安易に応じないよう注意が必要です。

 

Q. アコムの過払い金請求の時効と、借金の時効は関係ある?

 

A. アコムの過払い金請求《かばらいきんせいきゅう》の時効と、借金の消滅時効は、それぞれ別のものです。
過払い金の時効は、原則として最後に取引があった日から10年ですが、現在の民法を適用すると、権利を行使できることを知った時から5年で時効となる場合も考えられます。

9 アコムの時効援用、迷ったら弁護士へ相談を

アコムの借金の時効援用は、ご自身で行うことも不可能ではありません。

しかし、時効援用通知書の作成・送付やアコムとのやり取りなど、専門的な知識と慎重な対応が求められます。

手続きを誤ると、時効の利益を得られないばかりか、債務承認をしてしまうリスクもあります。

 

不安がある場合は、弁護士に依頼することを強くおすすめします。

 

なぜ弁護士への相談が推奨されるのか?3つの理由

 

弁護士に相談・依頼すると、以下のような大きなメリットがあります。

  1. 法的に正確な判断と手続き:
    法的に不備のない時効援用通知書の作成や送付手続きを代行してくれるため、失敗のリスクを大幅に減らすことができます。
    また、アコムから時効更新(中断)事由があると反論されたとしても、その妥当性の検討や反論も可能になってきます。
  2. アコムとの交渉代行による精神的負担の軽減:
    専門家に依頼すれば、アコムとの連絡や交渉をすべて任せることができます。
    これにより、債務者ご自身が直接アコムとやり取りする精神的なストレスから解放されますし、不用意な発言で債務を承認してしまうリスクも避けられます。
  3. 時効以外の解決策も提案可能:
    もし時効成立が難しい場合でも、任意整理、自己破産、個人再生といった他の債務整理の方法について、あなたの状況に合わせた最適な解決策を提案してくれます。

 

アコムの時効問題に強い弁護士の選び方のポイント

 

いざ弁護士に相談しようと思っても、どの事務所を選べばよいか迷うかもしれません。

以下のポイントを参考に、信頼できる弁護士を見つけましょう。

 

・債務整理・時効援用の実績が豊富か:
事務所のウェブサイトなどで、アコムを含む消費者金融の時効援用や債務整理の解決事例がどれくらいあるか確認しましょう。
実績が多いほど、ノウハウが蓄積されている可能性が高いです。

 

・費用体系が明確か:
どういう業務内容の依頼になるのか、それを依頼して、最終的にどういう結果の解決となったら、どのような費用がどれくらいかかるのか。

弁護士との直接対面での法律相談を受けて、そのような見通しを、事前に明確に説明してくれる事務所を選びましょう。

 

10 まとめ:アコムの借金時効を正しく理解し、プレッシャーから解放されるために

 

この記事では、アコムの借金が時効で消滅するための条件や手続き、注意点について詳しく解説してきました。

重要なポイントをまとめると以下の通りです。

 

・アコムの借金の時効:原則5年。

・時効が成立するためには、時効援用が必要。

・時効援用手続きは自分でも行えるが、法的な知識が必要なため、弁護士への依頼が推奨される。

・時効が成立すれば返済義務はなくなるが、信用情報への影響は一定期間残る可能性がある(CIC)。

・アコムからの連絡や裁判所からの通知には、慎重に対応する必要がある。

・実は過去に裁判や支払督促を受けており、5年で時効にならない可能性もありうる。

 

時効援用の手続きを自分で行うことも可能ですが、「自分で手続きをしたら失敗したので、今度はきちんと弁護士に依頼したい」という方も実際に見受けられます。

 

もし時効援用が失敗した場合には、債務が残っていることになりますが、それまで全く返済していなかったのですから、遅延損害金が相当高額に上る可能性も高いです。

アコムにその額を一括で返済できるならともかく、そうでなければ、何らかの債務整理も必要になってくる可能性も高いです。

 

そうした点を考えれば、時効を援用する段階から弁護士に依頼しておくことが望ましいです。

このコラムの監修者

  • 橋本 俊之
  • 秋葉原よすが法律事務所

    橋本 俊之弁護士東京弁護士会

    法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。

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