このコラムの監修者
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秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
借金の返済が苦しくなってきたので、なんとかしたいという方は、債務整理を行うことで、経済状況を改善することができます。
債務整理の方法の1つとして、任意整理という方法があります。
そのほかの債務整理の方法としては、自己破産、個人再生、過払金回収があります。
このように、いくつかの方法がある中で、自分にベストな方法を選ぶ必要があります。
今回は、任意整理に適したケースを紹介します。
「借金を返し続けたいが、月々の返済額が大きすぎてやりくりできない」
「借金を返していきたいが、いつ返済が終わるか見通しを立てたい」
「自己破産や個人再生はマイナスなイメージがあり、絶対に避けたい」
「過去に自己破産をしており、もう一度することが難しい」
「知り合いからの借金があり、これだけはきちんと返したい」
このような状況の方には、任意整理が適している可能性が高いです。
任意整理は、借金そのものの額を減らすことは難しいものの、自己破産などと異なり裁判所を通さない債権者との交渉ごととなるので、比較的柔軟な対応が可能となる点に特色があります。そのため、上記のような方には任意整理が向いています。
任意整理が適しているケースは、以下のようにまとめられます。
任意整理は、債務総額を減らすことは難しいですが、月々の返済額を減らし、元の返済計画よりも長期の分割にすることができます。
そのため、今の返済計画のままでは家計が回らないが、もう少し毎月の返済額が減ればなんとか返し続けられるという方に、任意整理はぴったりの方法です。
任意整理を行うにあたって、毎月どれだけの返済額であれば、家計をやりくりしていけるかは、弁護士の勧めで家計簿などを付けたうえで、弁護士と相談して決めます。
もっとも、「任意整理をすれば際限なく分割払いが認められる」というわけではありません。3年以内(長いところであっても5年以内)に完済する計画でなければ、債権者からは受け入れてもらえません。そのため場合によっては、任意整理をしても返済月額が減らないこともありえます。もし3年(原則)で完済することが難しい場合は、自己破産などを検討することになります。
カードローンなどの借金の金利は、住宅ローンと比べれば非常に高いです。そのため、「契約どおりにきちんと支払っているのに全く借金が減らない」という方も多いです。
任意整理をすると、今ある債務総額を単純な分割払いで支払っていくことが多いです。もし3年払いであれば、36回きちんと支払えば債務を完済できることになりますので、完済への道筋が見えてくることになります。
とりわけ自己破産については、いまだにマイナスイメージが強く、自己破産だけは絶対に避けたいと思っている方も多くいます。また個人再生でも、自己破産と同様に官報に名前が載ってしまったり裁判所での手続きになってしまったりするので、その点に抵抗がある方も多いようです。
たしかに、職業柄、自己破産をしたときに資格制限を受けてしまう方(ex.警備員)や、官報に名前が載ってしまうのはどうしても嫌だという方には、任意整理を検討するメリットがあります。
もっとも、自己破産や個人再生のマイナスなイメージは、誤解や思い込みであることも多いです。たとえば、自己破産をしたら全財産を失うとか、家族や勤務先などの周りにバレてしまうというのは、誤解に基づくものです。自己破産・個人再生に抵抗がある方は、その抵抗のもとである前提の理解が正しいのかどうか、弁護士によく確認したうえで、債務整理の手段を決定するのがよいでしょう。
任意整理では、借金が複数ある場合に、任意整理の対象とする借金と、対象にしない借金を選ぶことができます。つまり、もともとの契約どおりに返したい借金があれば、それはそのまま返し続けて、ほかの借金だけを任意整理することができます。
他方、自己破産や個人再生においては、任意に対象となる借金を選ぶことはできません。すべての借金を対象とする必要があります。もし、一部の借金だけを隠して返済していたことが発覚したら、問題視されるのは確実です(「自己破産(個人再生)の手続きの意味を全く分かっていない」と裁判所から怒られてしまいます)。場合によっては、免責不許可(=破産したのに借金が消えない)という結末を招く可能性もありえます。
例えば20%を超えるような利率で借金を返済し続けていた場合、利息を払いすぎており過払い金が発生している、ということがあります(ごく大雑把にいえば,平成19年以前から消費者金融やカード会社から借りて返してを繰り返してきたような場合です)。つまり、借金が今残っているように見えても、実はもう消滅していることもあるのです。まずは弁護士に、過払金がありそうかどうかを相談してみましょう。
また、借金を長年返していない場合、消滅時効援用により借金を返す必要がなくなることもあります。
過払い金が発生していそうかどうか、借金が消滅時効になっていそうかどうかは、経験豊富な弁護士であれば、あなたから事情を聴取すればおおよその見立てをたてることは可能です。
任意整理が適している複数のケースについて解説いたしました。借金問題の解決に当たっては、複数の債務整理の方法から、適切なものを選ぶ必要があります。
任意整理に興味のある方は、お気軽に当事務所にご相談ください。
このコラムの監修者
秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
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