借金の時効援用:時効になる条件は? |東京都台東区 債務整理に注力している弁護士です 借金問題無料法律相談 秋葉原よすが法律事務所【東京弁護士会所属】

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借金の時効援用:時効になる条件は?

はじめに~借金の時効消滅(時効援用)

「その借金はもう時効だ」

そういうセリフをドラマや小説で耳にしたこともあるでしょう。

借金を業者(貸主)に返す義務(債務)は、長い期間が経つと、時効になって消滅することがあります。これを借金の時効消滅といいます(消滅時効の成立)

借金は、自動的に時効で消えることはありません。時効になるにはいくつかの条件がありますが、大まかには次の二つが必要です。

  1. 時効期間が経過したこと(時効期間満了)
  2. 時効援用の手続き

借金はどういうときに時効になるのでしょうか。借金が時効になる条件や方法について、以下で見ていきましょう。

(備考)消滅時効については平成29年民法改正で変更があり、改正前から大きく変わった点があります。その点も含め、本コラムではできるだけ分かりやすさを重視して説明していきたいと思います。その代わり内容の正確性が損なわれることもあるでしょうが、悪しからずご容赦ください。

(備考2)本コラムで念頭に置いているのは、個人から借りた借金ではなく、業者から借りた借金についてです(銀行、カード会社、消費者金融など)

時効の条件①時効期間が経過したこと(時効期間満了)
時効期間の経過(時効期間満了)

業者からの借金は分割払いのことが多いでしょう。

分割払いの、たとえば6月分を返済期日に返済しないとどうなるでしょうか。

その6月分だけではなく、残りの額をまとめて一括で返せと請求されても仕方のない状況になります。

(備考3)借りる時の契約で、返済しないと自動的にそういう状況になる、と決められていることが多いからです。借入先や契約内容によっては、残額一括払いの請求まではしない、という内容になっていることもあります。

その状況になってから一定期間が経過していることが、借金が時効となる条件の一つです。

では一定の期間とはどれくらいでしょうか?

多くの場合5年、一部の場合に10年です。

時効期間≒5年

借金が業者から借りたものの場合、ごく大雑把に言えば「業者への支払期限の翌日から5年」となります。

上記のとおり、業者からの借金の場合、残額一括払いとなることが一般的だからです。

(備考4)残額一括払いの請求まではしないという内容であった場合、各回の支払額について、個別に時効を考えることになります。

「業者に最後に返済してから5年」「業者に5年以上返していない」

と表現していることもあります。

(備考5)どちらにせよ、分かりやすさを優先したおおまかな説明をしているだけであり、厳密なものではありません。その点はご注意ください。

場合によっては10年経たないと消滅時効が認められないこともあります。また、支払期限の翌日からカウントしないこともあります。

「もう時効だろうと思って時効援用をしてみたら、実はまだギリギリ時効期間が満了していなかった」(消滅時効に必要な期間が過ぎていなかった)

そういう場合もありえるのです。

借金の消滅時効の期間はいつからカウントするの?

「期限の利益を喪失した日の翌日から」です。

つまり、返さないといけなくなった日の翌日からカウントすることになります。

「期限の利益」とは何でしょうか?

たとえば3万円を4月末までに返す契約なら、逆に言えばそれまでは返さなくてよいことになりますね。

この「いついつまでは返さなくてよい」というのが期限の利益です。

業者から借金をする時の契約書には、例えば「1回でも支払いを怠った場合には、全額について当然に期限の利益を失う」というように契約書に書かれています。

(備考6)「期限の利益喪失約款」といいます。

あなたが期限の利益を失うということは、業者の立場から言えば「一括で今すぐ払え」と請求できることになります。

たとえば次のような場合を考えてみましょう。

「1回でも支払いを怠った場合には全額について当然に期限の利益を失う。残りの借金は50万円。3万円を6月末までに払うことになっていたが、支払えなかった」

この場合、業者は、その年の7月頭に50万円を一括請求できることになります。

そして50万円全体についての消滅時効の期間も、その年の7月頭からカウントすることになります。

(備考7)貸主が請求したら期限の利益を失う、とされている場合もあります。この場合には、業者が請求した日の翌日から消滅時効期間をカウントします。

(備考8)債権(=借金)は、債権者(=貸主)が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき、権利を行使できるときから10年間行使しないときに、時効消滅します(H29改正後民法166条)。すなわち業者が権利を行使することができることを知った時から5年で時効期間が満了します。「●●の事実があったら当然に期限の利益を失う」という業者作成の契約書を取り交わしている以上、業者は「●●があった」(ex.6月分の支払が遅延した)と知れば、貸金を請求できることも知ることになります。そこから時効期間のカウントが始まります。

借金の時効期間が満了しているかどうか、どうやって確認するの?

「自分の借金が、時効期間が満了しているのかどうか知りたい!」

その気持ちは分かりますが、業者に「私が最後に返済したのはいつ?」などと問い合わせるのは、お勧めはしません。

業者からすれば、全く返済のなかった(督促しても応答のなかった)あなたから珍しく連絡があったのですから、これは願ってもないチャンスです。

連絡したことでかえって請求が激しくなってしまうとか、問い合わせだけで済まそうと思ったのにそのまま債務承認までさせられてしまう可能性があるからです(寝た子を起こしてしまったり、返すと約束させられたりするかもしれない)

借金の時効期間が満了しているかどうかを手元の資料で確認できるかというと、ほとんどの場合、契約書や最終支払日が分かる明細などの証拠は残っていないでしょう(たまたま返済した際の明細が残っていても、それが最後のものかどうかは分かりません)

「下の子が小学校に上がってから返せなくなった。たぶん7年前だ」

というように、さしあたってはあなたの記憶に基づいて判断するしかないと思われます。

(備考9)弁護士が受任通知を送ると、業者は債権調査票、取引履歴などを開示してきますので、時効期間が満了したかどうか判断できます。

平成29年民法改正(参考)

細かい話なのでごく参考までにと思いますが、平成29年民法改正前は、借金の消滅時効に必要な期間は民法、商法などで定められていました。

「時効は民法では10年、商法では5年」

そういう話を聞いたことがある人もいるかもしれません。業者からの借金については、多くの場合商法が適用されて5年となっていました(例外的に信用金庫や信用保証協会など10年の場合もありました)。逆に5年より短い期間が定められているものもありました。

平成29年民法改正後は「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年」か「権利を行使することができる時から10年」で消滅時効の期間が満了することになりました(改正後民法166条。商事時効についての規定(商法旧522条)も廃止されました)

改正民法の施行日は令和2年4月1日ですので、その日以降は原則として改正後民法が適用されます。しかし、それより前に借りた借金の場合、消滅時効の期間については改正前民法の内容によります。

(備考10)附則10条4項「施行日前に債権が生じた場合におけるその債権の消滅時効の期間については、なお従前の例による」

実際問題として、借金をする場合は銀行、カード会社や消費者金融から借りることが多いでしょう。

そのため、借金をしたのが民法改正前でも後でも、どちらにせよ5年で消滅時効期間が満了することが多いと思われます。

もっとも前述のとおり、民法改正前では信用金庫からの借金の時効期間は10年とされていましたし、何でもかんでも5年で消滅時効となるわけではありません。

時効の条件②時効援用(時効だから返さないという手続き)

借金が時効になる条件として、時効援用が必要です。

時効援用(消滅時効の援用)というのは、一言で言うと「借金は消滅時効で消滅したから返す義務はない。だから返さない」と主張することです。

例えば、借金を一括請求されたのが5年以上前で、その後ずっと業者からの請求が一切来ていなかったとします。

それでも、借金が自動的に消えているわけではありません。

時効援用をしない限り、遅延損害金が膨らんで借金はどんどん増えていきます。

時効援用は、書面でしなければならないという決まりはありません。

しかし、時効援用したことを後で証明できるようにしておくべきです。

その意味で一番確実なのは内容証明郵便です。内容証明郵便は、「こういう内容の書面をいつ業者に届けた」ということを明確にできるからです。1行20字×26行などというように形式が決められており、差し出しはインターネット上からも可能です(登録が必要です)。

時効援用をしようとする際、既に業者から訴えられている場合(裁判所から訴状が届いた場合)があります。

この場合、内容証明郵便ではなく、「答弁書」などの書面を裁判所に提出して、その中で時効援用をすることになります。

原告(業者)に対して消滅時効を援用したことを、裁判所に知らせないと意味がないからです。

内容証明を出したとしても、答弁書を出さず裁判に全く対応しないと、いわゆる欠席判決で原告の言い分どおりの判決が下されてしまいます。

時効の条件③判決や債務自認行為などがないこと(時効が認められない事情がないこと)

「時効が認められない事情がないこと」という意味です。

「借金を消費者金融会社に最後に返済したのが5年以上前だと記憶している。内容証明郵便で時効援用をした」

こういう場合を考えてみます。

そして調べてみると実際に最終返済が10年前で、内容証明郵便で書いた内容に不備もなかったとします。

それでも、借金が時効にならないこともあります。

実際には時効期間が満了していなかった…

勘違いでそもそも5年経っていなかった、という場合もありえます。

5年経っていたとしても「実は判決を取られており、消滅時効に必要な期間はそこから10年に延長されていた」という場合もあります。

たとえば最終返済の4年後に判決を取られていたとしたら、そこからまだ6年しか経っていません。

したがって、まだ消滅時効期間は満了していません。

時効期間満了後に債務自認行為があった…

「3年前の段階で、5年の時効期間が満了していた。時効だと知らなかったので、消滅時効を援用せず、一部を返済した」

この場合、後になって「よくよく考えたら時効だったからもう返さない」と言ったとします。

この場合、時効は認められない可能性があります。

それは何故でしょうか?

時効期間が満了している状態で一部を返済したということは、債務があると自ら認める行動をした(自ら認める行為をした)ことになります。

そのことで業者に「債務を返済してもらえる、消滅時効の援用はしないようだ」と期待させたのに、その後でやっぱり時効だというのは、矛盾した行動だからです(最高裁S41.4.20判決)。

もっとも、時効期間満了後に債務自認行為をしたらそれだけで即ちにダメ、というわけではありません。色々な事情を考慮すると時効を認めるべきだ、と裁判所が判断してくれることもありえます。

ちなみに、自認行為をしてからさらに消滅時効期間が満了すれば、その後から時効を援用することは可能です(最高裁S45.5.21判決)。

(備考11)時効期間「満了前」に債務を承認すると、時効期間がそれまでに4年11ヶ月が過ぎていたような場合でも、カウントはゼロに戻ります。カウントを数え直すことをH29改正前は「時効の中断」と呼んでいましたが、改正後は「時効の更新」と呼んでいます。

借金の消滅時効援用が成功したら、その後どうなるの?
借金が消滅したという一筆はもらえる?

業者が時効を認めるのであれば、時効援用は成功ということになります。

借金は時効で消滅しますので、返す義務は無くなります。

この場合、「時効なのでもう請求しません」という一筆を業者からもらえるのでしょうか?

もらえる場合はあります。借金を返す義務はもうないという内容の和解書(ゼロ和解書)を取り交わすことができたり、残高が消滅したという書面が送られてきたりすることがあります(業者によります)

しかし、もらえない場合もあります(むしろその方が多い印象です)

業者としては、ゼロ和解書を取り交わす労力や郵送費などをかけたところで一銭の得にもならないからです。

もっとも、取り交わしができなくても、業者が時効を認めた以上、あなたに請求してくることは無くなります。

では、業者から訴訟を提起された場合はどうでしょうか。

裁判所から訴状が届いた場合に時効援用をするときは、答弁書などの裁判の書面ですることになります。

業者が「消滅時効が成立していることを争えない、裁判に負けそうだ」と考えた場合には、訴訟を継続してもコストの無駄ですので、訴えを取り下げたいと言ってくるかもしれません。

その場合、取下げに同意する代わりに裁判外でゼロ和解書を取り交わせ、と要求したりすることになるでしょう。

双方が裁判に勝てると考えた場合は判決に至ります。そして裁判所が消滅時効を認めてくれれば、「原告(業者)の請求を棄却する」という判決が出されます。その判決が、借金が無くなったことの一筆となります。

業者から支払督促を申立てられた場合はどうでしょうか。

時効を理由に異議申立てをすると、簡易裁判所での通常の訴訟に移行します。

業者が時効を認めるなら訴えを取下げてきて、裁判所から訴えの取下書が突然届くかもしれません。

(備考12)原告が訴えの取下げをする場合、一定の段階までは、被告(訴えられた側)の同意は不要です(民事訴訟法261条)。

信用情報について

業者からの借金を滞納すると、いずれ信用情報機関に事故情報が載ってしまいます。

いわゆるブラックリストに載ってしまう状態です。

「時効ではないか」と思われるほど滞納を続けているのなら、事故情報が載っている可能性が極めて高いです。

借金の消滅時効を援用して、借金を業者に返す義務がなくなった場合、JICC(信用情報機関の一つ)であれば早期に事故情報が消える取り扱いのようです(JICCのHPを参照)。

ただし他の信用情報機関の場合、5年程度事故情報が載り続けることもあるようです。

もし消滅時効を援用しないと、基本的には事故情報が載り続けてしまうことになります。

それよりは、時効援用の手続きをして、「いつかは事故情報を消してもらえる」という形にするほうが良いのではないかと思われます。

(備考13)既に述べたとおり、時間が過ぎただけで借金が自動的に消えることはありません。時効援用をしないかぎり、借金を返す義務は法律上残り続けていますし、支払が遅れたことによる遅延損害金も発生し続けています。信用情報を気にする前に、そのことを気にするべきです。

借金の時効を援用したけど期間が満了していなかったような場合、どうなるの?

借金は時効にはならずに残ってしまうことになります。

残った借金の額によって、たとえば分割で支払うよう交渉したり、あるいは自己破産などを検討したりすることもありえます。

「時効が失敗するかもしれないのなら、手続をせず今までどおり放置しておこう」

そう思うかもしれませんが、放置しておくと業者が法的手続きを取ってくる可能性があります。

それでもなおあなたが放置していると、「返済義務がある」と確定されてしまいます。

もし手続をしておけば時効になっていたのに、そこから10年経たないと時効にならない、となってしまう可能性もあります。

まとめ
借金が時効になる条件:期間満了&時効援用

借金が時効になる条件は、消滅時効期間が満了したこと、消滅時効を援用したことです。

また「判決や債務自認行為などがないこと」も必要です。

業者からの借金を5年以上払っていないなら…

「終わったと思っていた借金の督促が突然届いた」

そういう方は少なくありません。

督促は、借りた業者から届くこともあれば、違う業者から届くこともあります。

(備考14)滞納により、債権が債権回収会社に移ったりすることがあります。

「名の知れた大手消費者金融や債権回収会社から請求が来ているから、時効ということは無いのでは?」

と思うかもしれません。

しかし実際は、有名・大手の会社であっても、時効が成功することはよくあります。

弁護士に依頼を

時効になりそうだという自信があるとしても、あなた自身が業者に連絡を取ると、意に反して債務を認めさせられたりするかもしれません。

「自分で時効援用したが失敗し債務を認めさせられた」

実際、そういう相談者を何人も見てきています。

時効援用は弁護士に依頼して進めるべきです。仮に時効が認められず債務が残った場合であっても、その整理をする方向で進めていくことが可能です(任意整理、自己破産など)

このコラムの監修者

  • 橋本 俊之
  • 秋葉原よすが法律事務所

    橋本 俊之弁護士東京弁護士会

    法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。

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