このコラムの監修者
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秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
「借金を繰り返していたら、いつの間にか借金が大きく膨らんでしまい、現在の収入では返済が追い付かなくなってきた」
「借金の返済が追い付かず、借金で借金を返すような状況だ」
「どうにかして借金を返したいが、今の返済計画では生活が苦しい」
任意整理は、そのようなお悩みをお持ちの方への問題解決方法(債務整理手続き)の1つです。
任意整理とは、どういう手続きでしょうか?
任意整理は、弁護士が借入先(銀行やカード会社など)と交渉して、返済計画の見直しや利息のカットを行い、無理なく返済を行えるようにしていきます。
たとえば、月々返済している借金について、返済期間を延ばし、月々の返済額を少なくするという方法がよく取られます。
任意整理は、支払能力を超えない限りは、借金の金額がいくらであっても、借入先が何件あっても利用することができます。
借金問題の解決方法は、任意整理以外にも、「自己破産」、「個人再生」、「過払い金請求」があります。
このうち過払い金請求は、概ね平成19年より後に初めて借りたのなら過払い金がそもそも発生していないことも多いですし、もし発生していても借入先倒産により回収できないこともあります。
(備考)過払い金請求には①完済した業者に請求する場合と、②返済中の業者について取引履歴を調べてみたら過払い金が発生していたという場合があります。①の場合は(債務整理というよりも)純粋な返還請求です。②の場合は債務整理手続きの一環として行われます。
これらの手続きのいずれがふさわしいかというのは、借金総額、収入、資産、ご本人の意向などに応じて、変わってきます。
それぞれの債務整理手続きと比較しながら、任意整理のメリット・デメリットをご紹介します。
・自己破産のメリット
自己破産は、裁判所から認められれば、基本的には借金全額を返さなくてよくなります。すなわち借金返済から解放されるという点が、自己破産のメリットです。
任意整理は、利息(まれに元本)について減額を受けられることがあるものの、多くの場合、借金のほぼ全額を返済する必要があります。
⇒自己破産と比較したときの任意整理のデメリットは、「借金を返さないといけない」ということになります。
・自己破産のデメリット
破産は、基本的にすべての借金をなくすことが前提であり、一部の借金だけ返済し続けるということはできません。
したがって、例えば、友人や家族からの借金だけはきちんと返したいという場合であっても、破産ではそれは認められません。
破産すると、住居制限や資格・職業の制限などが生じます。ただし、破産手続が終了するときにはこれらの制限も解除されるので、影響は限定的です。
また、破産をする方の住所や名前が、官報という、公的に刊行される文書に掲載されます。
官報は、誰でも見ることができ、ネットでも読むことができるものなので、破産をしたことが誰かに知られてしまうというリスクがあります。ただし、官報は毎日発行されるもので、破産の情報も多く載っているので、よほど毎日すみずみまで官報に目を通している人でなければ、気づかれることはまず無いのではないかと思われます。
自己破産は、一度した場合、2度目は原則として7年以上経たないとできません(免責許可確定から7年以内の免責申立ては、免責不許可事由とされています)。
⇒自己破産と比較したときの任意整理のメリットは、「どの借金を任意整理の対象にするかを選ぶことができる」「任意整理を終了してから何年経たないとダメ、ということはない」ということになります。
・個人再生のメリット
任意整理とは異なり、大幅な元本カットが法律上認められています。
⇒個人再生と比較したときの任意整理のデメリットは、「基本的に大幅減額はできない」ということになります。
・個人再生のデメリット
個人再生では、上記のとおり元本のカットが認められているものの、法律で定められた一定額については、返し続けることが条件になっています。
そのため、ある程度の継続的な収入の見込みがなければ、個人再生は認められません(給与所得者等再生では、収入の要件がさらに厳しくなります)。
個人再生では、一部の借金のみを満額払うということはできません(住宅資金特別条項を用いる場合の住宅ローンは例外)。
官報にも掲載されます。これらの点では自己破産と似ています。
なお任意整理と比較したデメリットというわけではありませんが、東京地裁の現在の取り扱いを前提にする限りでは、個人再生よりは自己破産のほうがメリットは大きい(特別な事情がない限り、自己破産せず個人再生をするメリットは無い)と思われます。
⇒個人再生と比較したときの任意整理のメリットは、「(極論すれば)借入先との交渉が成立しさえすればよいので、収入が少ないようなときでも、場合によっては交渉成立(和解)できることもある」ということになります。
(備考2)もっとも、任意整理で目指すべきゴールは、借入先との和解ではなく和解内容に従って完済することですので、その点は間違えてはいけません。言い換えれば、支払っていけそうもない任意整理はしてはいけません。
・過払い金請求のメリット
払いすぎたお金を取り戻すことができます。
「完済したA社から過払い金を回収し、それでB社の債務を返済する」ということも可能かもしれません。
・過払い金請求のデメリット
完済した借入先に対する請求であれば、特段大きなデメリットはありません。
返済中の借入先に対する請求であれば、その返済を止めることになるため、事故情報(いわゆるブラックリスト)に一旦掲載されることになります。
任意整理は、あくまで借入先との交渉ごとになります。
借入先としては、分割払いに応じる義務はありませんので、和解が成立しないこともあります。
もっとも、お金を貸したほうとしても、破産して全く借金が返ってこなくなるよりは少しずつでも回収をしたいと考えることが通常なので、任意整理に応じてもらえることも多いです。
任意整理では、概ね36回程度の分割には応じてもらえることも多いです。
しかし、それまでの返済状況や年齢などによっては、もっと短い回数を要求されることもあります。
任意整理は、借入先との交渉が成立してからが、いわば本当のスタートです。
取り決めた新たな返済計画にしたがって、きっちりと借金を返していく必要があります。
任意整理の内容に従ってきちんと支払っていけるように、万が一のときは家族から援助をもらえるように根回しも必要かもしれません。
もっとも、どれだけ事前に慎重に検討していたとしても、収入状況の変化などによって、和解内容どおりに返せなくなってしまう方もいます。
その場合には、自己破産申立ても視野に入れていくべきかもしれません。
このコラムの監修者
秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
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