このコラムの監修者
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秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
任意整理を弁護士に依頼するとどうなるのでしょうか?
「任意整理するとどういうメリットがあるの?」
「任意整理でブラックリストに載るのが心配・・・」
任意整理に興味があっても,不安な方もいらっしゃるかもしれませんね。
以下では、まず、任意整理を弁護士に依頼したらどうなるのかを見ていきます。
そして、任意整理せずに借金をこのまま返済し続けていく場合と比較して、任意整理のメリット・デメリットを簡潔に見てみましょう。
「借金の一括請求が来ている…」
「今月の支払いができない、どうしよう…」
「借金取り立ての連絡が来ていて困っている…」
そんな状況では、仕事や家事・育児も手につかなくなってしまいます。
任意整理を弁護士に依頼すると、弁護士はその業者に対して受任通知(=依頼を受けたという通知)を送ります。すると、その業者からの事実上の取立ては一旦止まります。
(備考)事実上の取立てというのは、電話、手紙、SMS、自宅訪問などです。
(備考2)受任通知を送っただけでは、法律上の取立て(訴訟、強制執行など)を止めることはできません。たとえば、支払原資が足りずに任意整理の交渉がまとまらないまま長期間が過ぎると、訴訟を提起されるなどの可能性があります。
任意整理を弁護士に依頼したら、毎月の支払を一旦止めて構いません。借金の取り立てや支払を止めている間に、家計を立て直していくことができます。
任意整理の交渉は、弁護士が業者と行っていきます。あなた自身で業者と話をする必要はありません。
業者から一括請求が来てしまっている場合でも、分割払いを交渉することは可能ですし、実際に分割払いの示談がまとまることもよくあります。
あなたがすべきことは、家計を見直しつつ支払原資を確保して、支払月額などを検討することです。
任意整理を弁護士に依頼すると、弁護士は完済までにかかる利息(将来利息)をカットする方向で交渉します。そして多くの業者は、利息カットに応じてきます。
今残っている債務残高が例えば36万円で、「将来利息をカットして36回払い」という任意整理をするとします。その場合、毎月1万円ずつ×36回で完済できることになります。
任意整理によって将来利息をカットすれば、借金を減らすことができるわけです。
おおむね平成19年以前から取引を継続してきた方の中には、利息制限法を超える利率で計算した利息を支払い続けてきた可能性があります。
その場合には、支払い過ぎた利息を今の借金残高から差し引く=債務を減額できる可能性があります。場合によっては、借金がゼロになったうえで、業者から過払金を回収できることもあります。
任意整理を弁護士に依頼すれば、利息の支払い過ぎがあるかどうかもチェックすることができます。
(備考3)弁護士から受任通知を受けとった業者は取引履歴を開示してきます。弁護士は、その内容をチェックして、利息の支払過ぎの有無を調べます。
任意整理を弁護士に依頼すると、信用情報機関に事故情報が掲載されます。事故情報というのは、業者との約束どおりの支払いがなくなったという情報のことですが、このことを指して、俗に「ブラックリストに載る」と表現しています。
その結果、住宅ローン、カードローンや車のローンなどの借入れができなくなります。また、誰かの保証人になることもできなくなります。
任意整理をすると、クレジットカードやETCカードが使えなくなります。
任意整理した業者のカードはすぐに使えなくなります。
任意整理をしなかった業者のカードも、ブラックリストに載る結果、遅かれ早かれ使えなくなります。
クレジットカード不要のETCカードなどが存在するので、代わりの手段を探してみると良いかと思います。
任意整理したらクレジットカードはどうなるの?A社のクレジットカードを使って分割払いで商品を購入している場合があります(=ショッピング利用)。商品代金をまだ払い終わっていないのなら、その商品は、完全にあなたのものになったわけではありません。
任意整理をその状況でA社に対して行うと、商品がA社によって引き上げられてしまう(持っていかれてしまう)可能性があります。
商品の引き上げを実際に行うかどうかは、業者の判断によります。商品の価値がさほど高くなければ、引き上げられない可能性もあります。ただ法律上は、「払い終わっていない以上は、引き上げられても仕方ない」ということにはなります。
のメリットとして、利息の支払過ぎが有れば、借金を減額したり過払金を回収したりできることになります。仮に無くても、利息をカットして借金を圧縮することが見込めますし、借金を完済するメドが立ってきます。
任意整理をした場合のデメリットは、一定期間ブラックリストに載ることです。借入れができなくなったり、カードが使えなくなったりします。
(備考4)ブラックリストに載る期間は完済後5年程度と言われていますが、詳細は信用情報機関(CIC、JICC、KSC)のほうに直接お問い合わせください。
契約どおりの利息を支払っていくことになります。返済するお金の一部しか、元本は減りません。今月2万円を返済したとしても、来月の元本が2万円減るわけではありません。そのため、完済までにはどうしても長い期間がかかってしまいます。
さらに、債務が多い状況のままでは、いずれはこれ以上借りられないという状況に陥ってしまったり、支払が滞ってブラックリストに載ってしまったりする可能性が出てきます。
手取り収入からの返済が苦しくなって借りたお金で返すという自転車操業状態に陥ってしまうと、債務はどんどん膨らんでいくばかりです。そうなってしまうと、自己破産も検討しなければならなくなるかもしれません。
そんな状況に陥る前に任意整理をして、収入の中でやりくりできる形を作るほうが、長い目でみればプラスになるのではないでしょうか。
「今すぐにクレジットカードを使えなくなるのはちょっと困る…」
そういう方もいますが、支払方法を変えることで対応が可能なこともよくあります。
考え方次第ではありますが、任意整理のデメリットは、それほど大きくはないとも言えるのではないでしょうか。
任意整理を弁護士に依頼すると、借金の支払いや取立てを一時ストップできます。まずはいったん生活を落ち着かせて、今後の段取りを考えていきましょう。
任意整理のメリットとして、支払過ぎた利息があれば借金減額の可能性があること、利息カットによる借金圧縮があげられます。
「任意整理でブラックに載って借りられなくなるのは怖い」
そう思うかもしれませんが、現金払いの形にして、借金に頼らない形に慣れるチャンスでもあります。自分の手取り収入からこのまま支払いを続けていけるかどうか厳しいのであれば、自転車操業に陥る前にきちんと債務を整理して、家計を立て直して再起を目指すべきでしょう。
任意整理がいいのか他の手段がいいのかも含め、弁護士に相談してみることをお勧めします。
任意整理って?メリット・デメリットを解説しますこのコラムの監修者
秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
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