このコラムの監修者
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秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
任意整理を弁護士に依頼するとどうなるのでしょうか?
任意整理に興味があっても「デメリットが大きいのでは…」と不安な方もいらっしゃるかもしれませんね。
借金をこのまま返済し続けていく場合と、任意整理を弁護士に依頼した場合とを、かいつまんで比較してみましょう。
「借金の一括請求が来ている…」
「今月の支払いができない、どうしよう…」
「借金取り立ての連絡が来ていて困っている…」
そんな状況では、仕事や家事・育児も手につかなくなってしまいます。
任意整理を弁護士に依頼すると、弁護士はその業者に対して受任通知(=依頼を受けたという通知)を送ります。
すると、その業者からの事実上の取立て(※電話、手紙など)は一旦ストップします。
あなたからの支払も、一旦止めてしまって構いません。
任意整理の交渉は、弁護士が業者と行っていきます。
借金の取り立てや支払をストップしている間に、落ち着いて家計を建て直していきましょう。
(※)法律上の取立て(訴訟や強制執行など)はストップできません。これらをストップさせるためには、自己破産の申立てが必要です。
業者から借りたお金には利息が付きますので、返済するお金の一部しか元本には充当されません。
今月2万円を返済したとして、来月の元本が2万円減るわけではありません。
したがって、完済までには長い期間がかかります。
任意整理を弁護士に依頼すると、弁護士は将来利息をカットする方向で交渉しますし、多くの業者はカットに応じてきます。
今残っている債務残高が例えば36万円で、「将来利息をカットして36回払い」という任意整理をするのなら、毎月1万円ずつ×36回で完済できます。
任意整理の分割金を支払えば、その分だけ借金が減るのです。
おおむね平成19年以前から取引を継続してきた方の中には、利息制限法を超える利率で計算した利息を支払い続けてきた可能性があります。
その場合には、支払い過ぎた利息を今の債務残高から差し引く=債務を減額できる可能性があります。
任意整理を弁護士に依頼した場合、弁護士は利息の支払い過ぎがあるかどうかもチェックします(※)。
(※)弁護士から受任通知を受けとった業者は取引履歴を開示するので、これに基づいてチェックします。
任意整理を弁護士に依頼すると、信用情報機関に事故情報(=業者との約束どおりの支払いがなくなったという情報)が掲載されます。
このことを指して、ブラックリストに載ると表現しています。
住宅ローン、カードローンや車のローンなどの借入れができなくなります。また、誰かの保証人になることもできなくなります。
クレジットカードやETCカードが使えなくなります。
任意整理した業者のカードはすぐに使えなくなりますし、任意整理から外した業者のカードも、遅かれ早かれ使えなくなります。
クレジットカード不要のETCカードなどが存在するので、代わりの手段を探してみると良いかと思います。
A社のクレジットカードを使って分割払いで商品を購入する、ということもあるかもしれませんね。
代金をまだ払い終わっていないのなら、その商品が完全にあなたのものになったわけではありません。
任意整理をその状況でA社に対して行うと、商品がA社によって引き上げられてしまう(持っていかれてしまう)可能性があります。
商品の引き上げを実際に行うかどうかは業者の判断によりますが、「払い終わっていない以上は引き上げられても仕方ない」ということになります。
任意整理でブラックリストに載るのは困る…という方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、ブラックリストに載っていなくても、債務が多い状況のままではいずれにせよ住宅ローンなどを借りられない(審査が通らない)可能性があります。
任意整理を弁護士に依頼しなくても、支払が滞るとブラックリストに載ってしまいます。
手取り収入からの返済が苦しくなって借りたお金で返すという自転車操業状態に陥ってしまうと、債務はどんどん膨らんでいくばかりです。
そうなると自己破産も検討しなければならなくなるかもしれません。
そんな状況に陥る前に、任意整理でブラックリストに載ってあえて借入れできないようにする=収入の中でやりくりする形を作るほうが、長い目でみればあなたの再起にとってプラスです。
クレジットカードを使えなくなるのはちょっと…という声も多いですが、支払方法を変えることで対応可能なこともよくあります。
考え方次第ではありますが、任意整理のデメリットはそれほど大きくはないとも言えるのではないでしょうか。
任意整理を弁護士に依頼すると、借金の支払いや取立てを一時ストップできます(一括請求が来ている場合でも)。
いったん生活を落ち着かせて、今後の段取りを考えていきましょう。
任意整理のメリットとして、支払い過ぎた利息がもしあれば、債務減額できる可能性があります。
「任意整理でブラックに載って借りられなくなるのは怖い」と思うかもしれませんが、現金払いの体制に慣れるチャンスでもあります。
自分の手取り収入からこのまま支払いを続けていけるのなら問題ありません。
しかしそれが厳しいのであれば、自転車操業に陥る前にきちんと債務を整理して、家計を立て直して再起を目指すべきでしょう。
任意整理がいいのか他の手段がいいのかも含め、弁護士に相談してみることをお勧めします。
このコラムの監修者
秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
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