任意整理
任意整理のポイント
任意整理に向いているのは、次のような場合です。
- 債務総額が小さめ
- 完済への道筋をつけたい
- 家族にバレたくない
- 自己破産や個人再生ができない・したくない
- どうしても全額を返済しないといけない債権者がいる(ある債権者を特別扱いしないといけない)
任意整理のメリットは、単純な分割払いとなり、支払総額をカットできることです。
任意整理のデメリットは、「ブラックリスト」に載ることです。
任意整理のメリット
引き直し計算により借金を減額できる可能性があります。
任意整理では、弁護士が、債権者から取引履歴を取り寄せます。
利息制限法の上限金利(多くの場合15%~18%)を超えた利息を支払っていなかったかどうかをチェックします(引き直し計算)。
支払い過ぎがあれば、借金が減額されます。
さらに「支払い過ぎの額>借金」の場合、過払い金を債権者に請求できることになります。
過払い金を取り戻してきて、他社への返済に充てることができるかもしれません。
将来利息カット(単純分割払い)
債権者から借りている借金をそのまま返済する場合には、借りている額に利息がこれからも発生し続けます。
そのため、「返済し続けているのに終わりが見えない」ことがよくあります。
任意整理では、将来発生する利息をカットして分割払いする方向になります。
言いかえると、利息をカットできる分、返済総額も減らせることになります。
残高を単純に分割払いすることになるので、終わりが見えることになります。
場合によっては将来利息をカットできない場合もあります。
裁判所を通す必要がありません。
任意整理は、ご本人から依頼を受けた弁護士が債権者(業者)と交渉して、分割払いでまとまるよう目指すというものです。
自己破産や個人再生の場合、裁判所での手続きになります。
特定の債権者だけを特別扱いすることはできません。
たとえば「親族からの借金や勤務先からの借入れだけは満額返済したい」ということはできません。
さらに管財人や個人再生委員の面接指導を受けないといけないなど、任意整理に比べると、手続きの負担が重くなります。
たとえば自己破産なら、平日に管財人面接や免責審尋にご本人も出席しなければなりませんし、警備員など特定の職業に就けない期間も生じます。
任意整理のデメリット
「ブラックリスト」(事故情報)に載る
任意整理を弁護士に依頼すると、弁護士が受任通知を債権者に送る一方、ご本人からの支払をストップしていただきます。
任意整理により、「ブラックリストに載る」(事故情報が載る)ことになります。
一定期間(おおむね5年程度)は新たに借り入れをしたり、クレジットカードを作ったり、保証人になったりすること等ができなくなります。
もっとも、任意整理などの債務整理をせず支払いが滞ってしまうと、そのことでブラックリストに載ってしまいます。
支払いが厳しいのに、事故情報が気になるので債務整理をしない、というのは避けるべきでしょう。
返済負担が残ります。
任意整理は借金を返していく手続きです。
債務総額が大きい場合には、返済負担が相当大きくなってしまいます。
支払い終わっていない物は,債権者に引き上げられます。
たとえばA社のローンで車を購入して返済中の場合に、A社に対して任意整理を開始するとします。
任意整理により、車はA社に引き上げられることになります。
引き上げを避けるためにはどうすれば良いでしょうか?
「A社は任意整理から外して、いままで通りに返済する。単なるキャッシングのB社とC社について任意整理を開始する」
たとえばそのような対応が可能です。
しかし自己破産や民事再生では、そのような対応はできません。
任意整理って?メリット・デメリットを解説します任意整理で注意すべき点は?
債権者(業者)との任意交渉
自己破産や個人再生なら、裁判所(法律)の力を借りることができます。
自己破産なら、もし債権者が抵抗しても、裁判所が免責決定を出してくれさえすれば、借金を一切支払わなくてよくなります。
任意整理は、裁判所を通さず、お互いが自由な立場で交渉しているだけです。
「5年分割でしか払いきれない」
そのようにご本人がいくら希望しても、債権者が拒否する場合には、5年分割での示談(和解)を強要することはできません。
場合によっては、一括やごく短い回数しか認めてこないとか、訴えられてしまうこともあります。
無理は禁物
任意整理は、完済し終わって初めて意味があります。
任意整理の途中で支払いが滞った場合には、残りを一括で請求されてしまい、自己破産するしかなくなってしまうこともあります。
任意整理で和解する前に、家計収支を見直して無理のない範囲で返済できるように計画を組む必要があります。
無理のない範囲での返済が債権者に受け入れられない場合は、自己破産や個人再生を検討することになります。
任意整理に適したケースはどのような場合なの?